イングランドで“悩める右SB”のEURO行きあるか 落選も味わった男の逆襲劇は

現地時間10日に行われたアストン・ヴィラ戦では、終了間際に値千金の決勝ゴールを決めたA・アーノルド photo/Getty Images

ここぞの場面で輝く可能性

近年、活きのいい若手が多数頭角を現しているイングランド代表。FWジェイドン・サンチョ(21)、MFメイソン・マウント(22)、MFデクラン・ライス(22)、MFフィル・フォデン(20)……。今年6月に開催予定となっているEURO2020に向けて、新生スリーライオンズの準備は着々と進んでいる。

そんなイングランド代表のなかでも、最もポジション争いが激しいとされるのが右サイドバックだ。マンチェスター・シティのカイル・ウォーカー(30)、アトレティコ・マドリードのキーラン・トリッピアー(30)、マンチェスター・ユナイテッドのアーロン・ワン・ビサカ(23)、チェルシーのリース・ジェイムズ(21)など、このポジションはとにかく人材が豊富。ブライトンのタリク・ランプティ(20)のような選手も候補には入ってくるか。

そんな熾烈なイングランド代表における右SB争いだが、そのなかでリヴァプールに所属するトレント・アレクサンダー・アーノルドの立場が危うくなってきている。今季プレミアリーグで苦戦を強いられるリヴァプールにおいて、チーム低迷の一因として批判の標的にもされることとなっている同選手。その低調なパフォーマンスが響き、3月のインターナショナルマッチウィークでは無念の代表落選を経験することとなってしまった。
一時は定位置を確保したかのようにも思われたが、今年6月開催予定のEURO2020目前で一気に当落線上に置かれることとなってしまったA・アーノルド。むしろ、このままでは落選の可能性の方が高くなっていると言っていいか。しかし、近頃評論家としての活動にも力を入れているワトフォードのFWトロイ・ディーニーは、A・アーノルドにはまだチャンスがあると主張する。

「たしかに、トレントは守備に関して問題がある。レアル戦のようなパフォーマンスはEUROで許されないだろうね。でも、その前のアーセナル戦で披露したディオゴ・ジョタへのクロスは素晴らしかったよ。FWにとって理想的なボールだったと言えるね。ジョタは触るだけでよかった。右SBに関して、サウスゲイトは豊富な選択肢を持っているけれど、あれほど素晴らしいクロスを供給できる選手はなかなかいない。他の選手も能力としては一長一短だ。要は使い方だね。レギュラーとしては厳しいかもしれないけれど、攻め手が無くなった際の手段としてトレントは大いに機能すると思うよ」(英『THE Sun』より)

安定しないパフォーマンスに批判が集中するA・アーノルドだが、劣勢時などのジョーカーとしては大いに機能するはずとディーニー。フルタイムでは難しいかもしれないが、確かに3バックシステムのウイング起用や試合途中からの投入であれば彼の良さを活かすことができるか。攻撃に集中できる環境を整えることさえできれば、彼はEUROでも輝くことができるかもしれない。

加えて、現在ワン・ビサカやランプティには他国の代表を選択する可能性も報じられている状況。もしこの2人がイングランドを選択しない場合、将来のことも考えてここでA・アーノルドをEUROへ連れて行っておくのはアリかもしれない。レギュラーとしては厳しいかもしれないが、ここぞの場面でスリーライオンズの切り札となる可能性はあるだろう。現地時間10日に行われたアストン・ヴィラ戦でも終了間際に豪快なミドルシュートを沈め、攻撃性能の高さを見せつけたA・アーノルド。賛否両論渦巻くこととなるかもしれないが、一考する価値はあるはずだ。

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