[MIXゾーン]強靭なスタミナでC大阪を支える“中盤のスペシャリスト” クオリティは代表クラス!?

今季も豊富な運動量でチームを支える奥埜 photo/Getty Images

鳥栖の無失点記録を止めた一撃

2日に行われた明治安田生命J1リーグ第7節で、セレッソ大阪とサガン鳥栖が対戦。鳥栖の無失点記録の行方にも注目が集まった試合は、C大阪が1-0で勝利を収めた。この結果、勝ち点を「16」まで伸ばしたC大阪は、暫定ではあるものの3位まで順位を押し上げている。

6試合消化した時点で失点「0」と、開幕節から守備陣が好調な鳥栖をホームへ迎え入れたC大阪。序盤から相手にボールを持たれる展開となったが、要所要所はしっかりと締め、危なげない試合運びを見せる。ピンチの少なさから見ても、鳥栖にあえてボールを持たせたと言ったほうが正しいかもしれない。ただ一方で、立ち上がりのFW大久保嘉人のヘディング弾がオフサイドで認められないなど、粘り強い鳥栖の牙城もなかなか崩せず、スコアレスでハーフタイムを迎えた。

しかし、後半に入るとついに試合が動いた。キックオフと同時に仕掛けたC大阪は、DF瀬古歩夢のロングフィードが一度は相手に弾かれるも、こぼれ球をMF奥埜博亮が拾う。そして、奥埜はファーストタッチで相手をひとりかわし、ペナルティアーク手前から右足一閃。強烈なシュートをゴール左隅に叩き込んだのだ。このゴールが見事決勝点となっている。
今季初ゴールで、他のチームがなかなか止めることのできなかった鳥栖の開幕戦からの無失点記録を止め、この試合のヒーローとなった奥埜。昨年まではFWとして起用されることも多かっただけに、やはり攻撃面での貢献度は計り知れない。ただ、得点シーンだけでなく、様々なところに顔を出してパスでリズムを作ったり、ピンチの芽を摘んだり、中盤の真ん中でバランスを取ったりと、ボランチとしてもきっちり存在感を発揮していた。そのため、この試合に出場した選手の中で走行距離が唯一「13km」を超えている。なお、今季13km超えの走行距離を記録しているJ1の選手は4名のみ。そのうちのひとりが奥埜で、同選手はここまでの全7試合に出場しているが、3試合で13km超えを記録(第1節柏戦:13.29km、第5節大分戦:13.00km、第7節鳥栖戦:13.04km)と驚愕のデータも残している。

そんな奥埜は鳥栖戦で何を意識してプレイしていたのか。試合後に次のように語っていた。

「(得点シーンについては)チームとして前から勢いを持っていこうと思った(後半の)キックオフでしたし、その中でセカンドボールを拾うことを意識していました。そのセカンドボールをうまく拾えて、あとはファーストタッチがキレイに決まりました。右に選手はいたと思うんですけど、シュートが打てそうな間合いがあったので、最初だったので思い切って打ったらいいコースに飛んで入ってよかったです。なかなかああいうシュートは、僕は打てない。1年に1回あるかないかというゴールだったので、気持ちよかったです」

「チームとして前からボールを取りに行って、そこで奪い切ってショートカウンターするということが一番ですけど、今日に限っては試合をやっていく中で、相手が後ろに人数をかけてボールを握ってきました。そういう部分で試合中にみんなで声を掛け合って、『ある程度、後ろの選手に対しては持たせてもいい』という判断を選手たちでしていたのでそこがよかったのかなと思います」

就任直後から「攻守のバランス」に関して口酸っぱく言ってきたレヴィー・クルピ監督も、攻守のキーとなっている奥埜を大絶賛。記者会見で次のように述べている。

「奥埜選手ですけれども、中盤で本当に攻守にわたって、どちらもクオリティの高い選手だと思います。私がいつも言っていることなんですけど、サッカーにおいてやるべきことは2つしかない。しっかり守る、そしてしっかり攻める。奥埜選手はその両方ができる中盤のスペシャリストだと思っています。そういう意味では、代表に選ばれてもおかしくないですし、セレッソで優勝を勝ち取って、タイトルを取って、ヨーロッパへ行く。それぐらいの実力を彼は持っていると思います。あとは選手次第だと思います。アスリートというのは自分のイメージしている通りにキャリアを描いていくものだというふうに、選手に常に言っていますけれども、彼もこれからのイメージ次第でもっともっと伸びるんじゃないかなと思っています」

今年32歳の誕生日を迎える奥埜だが、この歳になってもまだまだ成長を続けており、上記のデータから見てもわかる通り強靭なスタミナで運動量は若手たちに決して負けていない。攻撃力、献身性などの面を見ても、いつ日本代表に呼ばれてもおかしくない選手だ。本人も「この間もチームから原川選手や坂元選手が日本代表に入ったので、いい刺激にもなります」と話していたが、日の丸を背負うためにもまずはC大阪に1つでも多くの勝利をもたらしたいところだ。

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