プレミアリーグ第11節。首位トッテナムはチェルシーとホームで対戦し、1-4と敗れた。これにより順位は2位に後退し、プレミアリーグから無敗のチームはなくなっている。
トッテナムは前半6分にデヤン・クルセフスキの得点で先制するも、35分にはクリスティアン・ロメロがファウルで一発退場に。チェルシーは与えられたPKをコール・パルマーが沈めて同点とする。さらに55分にはデスティニー・ウドジェの退場により、トッテナムは9人となってしまう。その後ニコラス・ジャクソンのハットトリックにより、結果的にチェルシーが大勝を収めた。
この試合で話題になったのは、数的不利となった際のトッテナム指揮官アンジェ・ポステコグルーの采配だ。9対11の数的不利にもかかわらず、トッテナムは果敢なハイラインを敷き、ハーフウェイライン付近に守備陣形をとってプレスをかけ続けたのだ。
この戦い方に、英国では識者の間でも意見が割れている。『Mail Sport』のポッドキャストでは、元英代表のマーティン・キーオン氏とクリス・サットン氏が、まったく違う意見を述べている。
「トラブルを求めているように見える」と批判したのはキーオン氏だ。「彼らが失点するのは時間の問題だった。私は自分の見ているものが信じられなかったよ」と、采配に疑問を投げかけている。トッテナムが失点したのは事実であり、キーオン氏の見立ては正しいということもできるだろう。
だが、トッテナムの戦いぶりは素晴らしかったとする意見もある。サットン氏はこんなものは見たことがないと前置きしつつ、次のようにチームを称賛している。
「(このような場合は)全体像を見据えつつポジティブな考え方を維持することがすべてであり、それが私たちが見たものだ。トッテナムはチェルシーより2選手少なかったが、最後まで頑張っていた」
「彼らには得点のチャンスがあったが、それは彼らのハイラインの勇敢さによるものだった。もしかしたらこれは伝統的にフットボールでやることではないのかもしれないが、私はそれを楽しんだよ。そしてトッテナムのファンも同様だ。ホームでライバルに4-1で敗れたあと、チームがスタンディングオベーションを受けることはあまりないだろう」
「馬鹿げていると思うかもしれないが、たとえあなたがそう思わなくても、私は夢中になったと認めるよ」
たしかに戦術的には狂気の沙汰と思われても仕方がなかった。しかし、負けてしまえば何点取られても同じ。最後まで勝負を捨てなかったポステコグルー采配は、確かにエキサイティングなものをゲームにもたらしていたのだ。