ポルトガルの名門ベンフィカの快進撃が止まらない。8日にはチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグでベルギーのクラブ・ブルージュと対戦し、ホームで5-1と圧勝。1stレグと合わせて7-1のスコアでベスト8入りを決めた。
ブルージュは優勝候補に挙げられるクラブではないが、それでも2試合で7点も奪うのは見事と言うしかない。
今季のベンフィカはグループステージの段階から得点力が目立っており、グループステージではパリ・サンジェルマン、ユヴェントス、マッカビ・ハイファと同居したH組で16ゴールを奪って首位通過。ブルージュ戦も合わせてチャンピオンズリーグでは23のゴールを奪ったことになり、今季の現段階でこれを上回る得点数を記録したチームはいない。
スペイン『Mundo Deportivo』が驚いているのは、ベンフィカの特長ともなっている人材育成だ。
「冬のエンソ・フェルナンデス退団の事実さえ忘れさせる」と同メディアは称賛するが、FCポルトを含めポルトガルのクラブはタレントの売却とピッチ上のパフォーマンスのバランスを取るのが抜群に上手い。ベンフィカは昨夏にFWダルウィン・ヌニェスもリヴァプールへ手放しているのだが、今季はその穴を感じさせない。
攻撃面ではポルトガル代表の一員として昨年のワールドカップ・カタール大会でも活躍した21歳のFWゴンサロ・ラモスが売り出し中だ。国内リーグで15ゴール、チャンピオンズリーグで3ゴールを挙げるラモスがヌニェスの穴を埋めており、こちらもステップアップの時は近い。すでに5大リーグのビッグクラブが目をつけているはずで、ベンフィカはまた一人アカデミーで育てた逸材を高値で売却することになるはずだ。
タレント流出が続くのはネガティブなことにも思えるが、ベンフィカはその路線を継続してきた。『CIES Football Observatory』によれば、2015年よりベンフィカのアカデミーは3億7900万ユーロもの収益を上げてきたという。選手を育て、売却しながら国内とチャンピオンズリーグで上位を目指す。この両立が見事に機能しており、ヌニェスとフェルナンデスを失いながらも今季のベンフィカは強い。
優勝候補とされるクラブでも今のベンフィカには手を焼くはずで、ベスト8でも旋風を巻き起こすかもしれない。