30歳で栄光を掴んだ遅咲きGK マルティネスに訪れた2度の転機

アルゼンチン代表を支えたエミリアーノ・マルティネス photo/Getty images

転がってきたチャンスをものにした

FIFAワールドカップ・カタール大会はアルゼンチ代表が優勝を果たした。1986年のメキシコ大会以来のことであり、それまでに2度決勝に進んでいるが、どちらも敗れている。リオネル・メッシは選手キャリアの中で初のW杯優勝となった。

そんな現状、最も強い代表チームであるアルゼンチンを最後尾から支えるのが、GKエミリアーノ・マルティネスである。

アーセナルのアカデミーで育ち、その後トップチームデビューを果たしたマルティネス。しかしライバルはウカシュ・ファビアンスキやヴォイチェフ・シュチェスニーと凄腕ばかりであり、2012年から2020年までアーセナルに在籍していたが、出場数は38試合とかなり少ない。
転機となったのは19-20シーズンで、当時正GKだったベルント・レノが負傷してしまい、マルティネスにチャンスがやってきた。その後、素晴らしいパフォーマンスを披露し、大きく評価を高めた。だが、レノの復帰などもあって今後の出場機会をアーセナル側から確約されず、同リーグのアストン・ヴィラへ移籍した。さらに評価を高め、すでにトップチームで91試合に出場している。

英『The Athletic』ではマルティネスがアルゼンチン代表の正守護神になるまでに大きな転機が何度かあったと主張する。

その一つがレノの怪我である。現フラムのレノは2018年からアーセナルでプレイしており、加入したシーズンからスタメンで活躍している。事件が起きたのは2020年の6月ブライトン戦で、ピッチに立ったレノはニール・モペイと接触。膝を負傷し、マルティネスが出場機会を得た。

リーベル・プレートのフランコ・アルマーニは、マルティネスの前のアルゼンチン代表の正守護神だ。安定感のあるベテランで、優勝したコパ・アメリカでも彼がピッチに立つはずだった。しかし新型コロナウイルスの陽性反応が出てしまい、W杯の予選を欠場。そこでマルティネスが正守護神に指名され、それからはその座を明け渡していない。

GKは基本的に一人しか起用できないため、2ndGKには出番が回ってくることは少ない。マルティネスはチャンスが来る日を待ち続け、その機会をものにした。決勝戦ではPKをストップしており、試合後の表彰式ではその大会で最も優秀なGKに送られるゴールデングローブ賞を受賞している。

アーセナルでの長い下積み時代を終え、ようやく日の目を浴びることができたマルティネス。もう30歳と若くないが、次の2026年のW杯にも出場することになるのだろうか。

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