プレミアで“ロングボール主体のスタイル”はもう見られない? バーンリーが降格し変化するイングランドフットボールの歴史

長くバーンリーを支えたショーン・ダイチ photo/Getty images

近年のトレンドとは真逆のサッカーだ

今季からイングランドの実質2部であるチャンピオンシップで戦っているバーンリー。ドワイト・マクニール、ジェイムズ・ターコウスキーらプレミアリーグを知る主要選手はクラブを去っており、新生バーンリーとして2部を戦っている。

バーンリーには元アンデルレヒト指揮官であるヴァンサン・コンパニが新監督として就任した。現役時代はマンチェスター・シティでプレイしたセンターバックであり、コンパニの監督としてのサッカーはジョゼップ・グアルディオラに大きく影響を受けている。

その証拠にバーンリーのここまでのリーグ戦2試合はどちらもボール支配率70%を越えている。パス成功数も500本越えとアベレージが高く、以前のバーンリーはもういない。

コンパニがやってくる前のバーンリーは長くショーン・ダイチがチームを率いており、そのスタイルはロングボールを主体とした古き良きイングランドスタイルだった。ボール支配率が50%を下回ることは日常茶飯事だが、シンプルな堅守速攻を武器に近年では16-17シーズンから21-22シーズンをイングランドのトップカテゴリーであるプレミアリーグで戦っている。しかし昨季は18位で降格を経験しており、ダイチ体制は終わりを迎えた。

英『The Athletic』ではこのダイチ体制が終わり、プレミアリーグからロングボールを主体とするチームが消えたと主張している。確かに近年では後方からのビルドアップを整備するチームが増えており、それによりGKやDFにはつなぐために足元の技術が求められるようになった。

同紙ではいくつかの観点からチームがロングボールを主体としているか、していないか見極めており、12-13シーズンからのプレミアを振り返っている。それがGKとDFのパスの平均的な距離だ。GKは40メートル以上、CBは7メートル以上であればそのチームはロングボールを主体としたサッカーを展開していると判断している。

12-13シーズンはウェストブロム・ウィッチ・アルビオン、ウェストハム、ストーク、レディング、QPRの5クラブが該当している。そのうち2つは降格しているが、当時チェルシーからロメル・ルカクをローンで借りていたWBAは8位という素晴らしい成績を残している。

翌13-14シーズンはストーク、クリスタル・パレス、ウェストハム、カーディフの4クラブだ。ウェストハムの当時の指揮官はビッグ・サムの愛称で知られるサム・アラダイスで、彼がクラブを去ることになる14-15シーズンまでロングボール主体のサッカーは続くことになる。

15-16シーズンは近年で最もロングボールを主体とするクラブが多い年であり、サウサンプトン、ウェストハム、ストーク、ワトフォード、WBA、クリスタル・パレス、サンダーランド、ニューカッスル、ノリッジ、アストン・ヴィラの10クラブだ。最下位ヴィラから17位のサンダーランドまでの下位4クラブはもれなくロングボール主体であり、このシーズンは降格を経験してしまっている。ウェストハムを離れたアラダイスはサンダーランドでもロングボールを主体としていたようだ。

ここからロングボールを主体とするチームは減り、19-20シーズンにはバーンリーとウェストハムのみとなってしまった。さらに翌年の20-21シーズンはデイヴィッド・モイーズがウェストハムを変えており、ついにバーンリーだけがロングボールを主体とするチームに。降格となった昨季もバーンリーのみであり、そのバーンリーが今季は2部で戦っていることから今季のプレミアリーグでのロングボールフットボールはおそらく死んでしまったと同紙は締めくくっている。

近年のトレンドでもある後方からの丁寧なビルドアップ。今ではビッグクラブだけでなく、下位クラブも後方からのつなぎを見せる。データでも示されているようにロングボールフットボールを志向するクラブは少なくなっており、イングランドのサッカーは新たな時代を迎えたといっていいだろう。

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