水沼貴史です。今夏も欧州で戦うさまざまな日本人選手が、新たな挑戦を決断しています。そんな中で、注目なのがブンデスリーガ。吉田麻也が自身にとって欧州4カ国目となる地にドイツを選んだり、昨季は2部でプレイしていた板倉滉が今季からトップリーグに初挑戦したり、多くの日本人選手が今季もプレイします。堂安律もオランダから戻ってきましたね。そこで、今回はドイツの屈強なアタッカーたちと鎬を削ることとなる吉田と板倉について少しお話をしたいと思います。
まず、イタリアのサンプドリアからシャルケへ移籍した吉田についてです。シャルケといえば、吉田と仲の良い内田篤人がかつてプレイしたクラブでもあり、内田は多くの地元ファンから愛されました。さらに、昨季は板倉もプレイし、2部ではありましたがチーム内で地位を確立。1年での1部復帰に大きく貢献しました。そのため、日本人選手に対するファンの期待値は大きいのではないでしょうか。
もちろん、それぞれ経験値や特長も違うし、持ち味も違うので、同じようなことができるわけではない。当然難しさもあるでしょうが、吉田ならやってくれるでしょう。まだまだ欧州のトップリーグでやれるという気持ちはあるでしょうし、今回の挑戦をW杯へ還元するという思いもあるでしょうからね。個人的には、そういったメンタル的な部分を考慮して、W杯を見据えて吉田はこのクラブを新天地に選んだのではないかと考えています。日本代表のキャプテンになって長いですし、日本のメディアに対しての影響力も大きく、周囲にさまざまな影響を与える選手だと思うので、今回の移籍は大きな覚悟を持っての決断だと思っています。覚悟がないと行きづらいでしょうし、そこにあえて飛び込んだ吉田の気概を感じます。
そして、そんな吉田はプレシーズンから素晴らしいパフォーマンスを見せています。さらには、加入1年目にもかかわらず、これまでの経験やパーソナリティを買われ、チームの副キャプテンにも抜擢されました。オランダ、イングランド、イタリアと渡り歩き、各国でコミュニケーション能力の高さを発揮していましたし、チームにもすんなり入ることができ、すぐに受け入れられるのではないでしょうか。
また、プレイ面に関しては、昨季のシャルケは2部でも守備の脆さが垣間見られることがあったので、吉田には経験を活かし、うまく周りの選手を使いながら是非ともチームに安定感をもたらしてもらいたい。初めてのリーグということもあり、課題も出てくるかもしれません。ただ、長谷部誠がフランクフルトでやっているぐらいのレベルは吉田もできるでしょうし、私としては吉田に対しての不安は全くありません。新天地のドイツで色々なことが新たに感じられると思いますし、見られると思うので、年末のW杯へ向けても多くのことを吸収してもらいたいですね。W杯のグループステージで相見えるドイツ代表には国内でプレイしている選手が多いため、日本代表にとってもキャプテンがドイツでプレイしていることは大きいのではないでしょうか。