EURO2004、2006年のW杯はチャンスだったが……
2000年代前半、黄金世代と呼ばれたイングランド代表にはメジャートーナメント制覇を狙うだけの力が備わっていると評価されていた。プレミアリーグを中心に活躍するスターが揃う超豪華集団だったのだ。
結局はEUROもワールドカップも制覇できなかったのだが、後悔が1つとあるとするならば世代最高のストライカーだったFWマイケル・オーウェンの怪我か。
1998年のワールドカップ・フランス大会にも出場し、アルゼンチン戦で伝説の独走ゴールを決めるなどオーウェンはかなり早熟の選手だった。2002年の日韓大会でも得点を記録しており、当時のイングランドでは絶対的なエースだった。
黄金世代と呼ばれたイングランドは最終ラインにはジョン・テリー、リオ・ファーディナンド、アシュリー・コール、中盤にはデイビッド・ベッカムやスティーブン・ジェラードなどタレントが多く揃っていたが、前線はそこまで層が厚かったわけではない。ウェイン・ルーニーもいたが、EURO2004のときは18歳と経験が浅すぎた。だからこそオーウェンにかかる期待は大きかった。
黄金世代の面々は年齢的にEURO2004、2006年のワールドカップ・ドイツ大会が1つのピークとも考えられたが、オーウェンは2004年のレアル・マドリード移籍あたりからキャリアプランが崩れ始めたところがある。ジェラードら同世代の選手と比べ、ピークに達するのが早すぎたのかもしれない。
英『The Sun』もオーウェンのキャリアが早くに崩れてしまったことを嘆いているが、イングランド代表通算成績は89試合出場で40ゴールだ。この得点数はイングランド歴代第6位となっており、やはりオーウェンは同国にとって特別な存在だった。現在はハリー・ケインがルーニーの持つ代表歴代最多得点記録(53ゴール)に近づいていることが話題になっているが、オーウェンも怪我さえなければ代表歴代最多得点記録を狙えたはずだ。
オーウェンが順調なキャリアを過ごしていれば、イングランド黄金世代はタイトルに手が届いただろうか。得点数こそ多くなかったが、周りを使うのが上手かったエミール・ヘスキー、高さ勝負なら負け知らずだったピーター・クラウチなどタイプの異なるFWは揃っていただけに、オーウェンさえ万全だったならばとの後悔を抱いているファンもいるだろう。