テンポが上がらなかった、ガンバのパスワーク チェンライ・Uとの再戦で徹底すべき“攻め方”は

長短の正確なパスが持ち味の山本悠樹。チェンライ・U戦でも的確にパスを散らしていたが、相手ゴール前での仕事は少なかった(写真は5月12日のサンフレッチェ広島戦)photo/Getty Images

“5バック+4人の中盤”の守備ブロックに手を焼く

AFCチャンピオンズリーグのグループステージ第3節が日本時間2日に行われ、グループHのガンバ大阪がチェンライ・ユナイテッドと1-1で引き分けた。

47分にガンバのFWレアンドロ・ペレイラが、DF佐藤瑶大からのクロスに反応して先制ゴールをゲット。その後はベース布陣を[3-4-2-1]から[5-4-1]に組み替え、カウンターから追加点を狙ったものの、高めに設定した最終ラインの背後を相手に突かれる場面が頻発。試合終盤まで何とか持ちこたえていたが、後半アディショナルタイムにペナルティエリア内での混戦から相手のFWビルに同点ゴールを奪われてしまった。

チェンライと同じく[3-4-2-1]という布陣を敷いたガンバは、キックオフ直後からボールを支配。塚元大と黒川圭介の両ウイングバック、2シャドーで起用されたウェリントン・シウバと小野裕二らを中心にサイド攻撃を仕掛けたものの、自陣への撤退守備を選んだチェンライに対して苦戦。攻撃パターンが彼らによるサイドからのドリブル突破しかない状態が続いたことでパスワークのテンポが上がらず、これによりチェンライの守備隊形は大きく乱れなかった。
攻撃が一本調子になってしまった要因は、敵陣ペナルティエリア手前のスペースやそこへのパスコースを、チェンライ陣営に塞がれてしまったこと。相手ボール時にウイングバックが最終ラインへ、2シャドーの選手がサイドに移動して[5-4-1]の布陣を形成するのがチェンライの守り方であったが、中央のレーンを3センターバックと2ボランチが埋めていたため、佐藤瑶大、キム・ヨングォン、菅沼駿哉というガンバの3センターバックと、山本悠樹と倉田秋の2ボランチが、なかなか前線に縦パスを供給できず。これにより攻撃ルートが両サイドからに偏ってしまった。

ガンバの攻撃のなかで惜しかったのが、22分すぎの場面。右センターバックの佐藤が自陣からドリブルでボールを運び、右サイドのタッチライン際に立っていた塚元へパス。この時、チェンライの2ボランチの間が空いたため、近くに立っていた山本へ塚元がパスを送り、山本が2ボランチの間からバイタルエリアへ侵入すれば、チェンライの守備隊形が崩れる可能性があった。

ところが、この場面で塚元は佐藤へのバックパスを選択。これによりガンバの攻撃テンポは上がらず、チェンライ陣営に守備隊形を整えられてしまった。

相手の2ボランチの片割れをサイドにおびき寄せ、この時に空く2ボランチの間のスペースを、サイドから中央へのワンタッチパスで突くという攻め方が自陣に引きこもる相手に対して有効なのだが、前半のガンバからはこの攻撃パターンがあまり見受けられず。前節の全北現代モータースFC戦から先発メンバーが10人入れ替わったことが影響したのか、特に前半は攻撃の連動性が低かった。

時間の経過とともにボールホルダーへの寄せが甘くなり、相手のパワープレイを止められなかった点も然ることながら、ボールを保持していた前半で効果的なパスワークを繰り出せず、複数得点を奪えなかったことも今後に向けた課題と言える。日本時間5日にチェンライと再び対戦するガンバだが、次節は先述のように相手のボランチをサイドにおびき寄せ、これによって生じる中央のスペースを突くという戦い方を徹底すべきだろう。


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