本職の右SBは“1人”だけ ドイツ代表のメンバー選考に疑問アリ

ドイツ代表を率いるレーヴ監督 photo/Getty Images

活きの良い若手も招集可能だったのになぜ

今夏のEURO2020で1996年大会以来の欧州王者を狙うドイツ代表。現時点ではフランス代表やポルトガル代表といったチームが優勝候補筆頭と言われるが、彼らも欧州最強の座を決める戦いに向けてはなかなかにレベルの高いスカッドを揃えてきた。各ポジションに実力者が揃うマンシャフトの躍進を期待している人も多いことだろう。

しかし、その一方では少しばかりの懸念点も存在する。それは右サイドバックの人員不足だ。今回のEUROに向けてヨアヒム・レーヴ監督は各国リーグで結果を残した精鋭26名を招集したが、同ポジションを本職としているのはDFルーカス・クロスターマン(RBライプツィヒ)ただひとり。もしクロスターマンにアクシデントが発生した場合、現状のスカッドで対応するのは難しいかもしれない。

おそらく、レーヴ監督はバックアップとしてニクラス・ズーレやジョシュア・キミッヒを考えているのだろう。ズーレは今季バイエルンでも数試合で右SBをこなしており、キミッヒも元々は同ポジションの選手だ。しかし、前者はやはりCBが本職で、後者は今や中盤の要として代えの利かない存在となっている。そう考えてみると、やはり今回のレーヴ監督の人選については少なからず疑問が残るか。この懸念点については、元ドイツ代表MFのローター・マテウス氏も次のように苦言を呈す。
「左サイドには優秀な人材が集まっていると思うが、その一方で右サイドは心許ない。このポジションを任せるのに適切な選手が少なすぎると思うよ。個人的には、なぜ(リドル・)バクがレーヴのチームに入っていなかったのか謎だ。彼はヴォルフスブルクで素晴らしいシーズンを過ごし、右サイドにスピードとダイナミズムをもたらしてくれる。柔軟性も申し分ないね。今回はU-21で代表入りしていたけど、優先はEUROだったはず。私にはレーヴの考えがわからない」(独『Sport Bild』より)

今季ヴォルフスブルクで活躍したリドル・バクは、ブンデスリーガで34試合に出場して6ゴール8アシストを記録した右サイドバック。昨年11月にはA代表デビューも飾っているが、今回はU-21ドイツ代表の一員としてチームのU-21欧州選手権優勝に貢献している。A代表に選ばれる実力も十分に備えているはずだが、なぜレーヴが彼を選ばなかったのだとマテウス氏はご立腹の様子だ。

2014年のブラジルW杯では本職の左SBを招集せずに優勝した経験もあるレーヴ監督。そういった実績があるのも理解できるが、バクほどの選手がいるのになぜその選択肢を使おうとしなかったのか。このメンバー構成がEUROで裏目に出ないことを願うばかりだが、はたして結末はいかに。

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