鳥栖相手に崩された“名古屋の勝利の方程式” 堅守同士の一戦に敗れる

堅守ベースにチームを構築するフィッカデンティ監督(写真は湘南戦) photo/Getty Images

前半で2失点を喫し、得点も稲垣のミドルのみ

明治安田生命J1リーグ第10節は4月18日に名古屋グランパスとサガン鳥栖の試合が行われ、1-2でアウェイチームが勝利を収めた。

ここまで開幕10試合で名古屋が1失点、鳥栖が3失点と堅守を誇るチーム同士の対戦となったこの試合でカギを握ったのが先制点。最少得点で守り切ることも可能な両チームのどちらが先手をとるかでこの試合は左右された。

そんななかで試合を動かしたのは鳥栖。前半6分にSBの裏をとった酒井宣福からのクロスに合わせたのは林大地。U-24日本代表でも結果を残したストライカー相手に名古屋は開幕戦以来となる失点を許す。
今季初めてリードされた展開で相手ゴールを目指すことになった名古屋。先行逃げ切りで最少得点を守りきるという得意パターンが試合開始早々に崩れたなか、ホームチームの試合へ挑む姿勢は注目された。

しかし、守備のリスクをしっかり管理しつつ高い強度でプレスをかけてくる鳥栖を前にミスが散発し、マテウスや前田直輝といったアタッカーの個人攻撃も得点には結び付けられない。前半終了間際の45分にはセットプレイからのクリアを酒井に拾われミドルシュートを決められるなど、さらに苦しい展開に持ち込まれる。

後半開始からマッシモ・フィッカデンティは柿谷曜一朗を投入し、狭いスペースで受け手となった背番号8が周りを活かしつつ相手陣内に侵入するなど、停滞していた攻撃を打破するための一定の成果はみられた。しかし、前半は3バック、後半には4バックとシステムを変えながら微修正を施し、名古屋を封じてきた鳥栖相手になかなか決定的なシーンをつくることができない。

終了間際には今季初出場の森下龍矢の右サイドからのドリブル突破のこぼれ球を受けた稲垣祥が得意のミドルシュートを突き刺し一矢報いたものの、同点に追いつくことはできず。開幕11試合目にして今季初黒星を喫することになった。

これまでの課題であった得点を奪いにいく際の工夫の少なさにくわえて、この試合では2ボランチで先発した稲垣や長澤和輝、CBの中谷進之介と丸山祐市の陣形が崩されるシーンが度々みられた。鳥栖に先手をとられ後手を踏む形となったこの試合で開幕から各チームを苦しめてきた形を崩された。

この敗戦だけでフィッカデンティがチームのバランスを崩す戦い方を選ぶことはないだろう。あくまで堅守をベースにしたサッカーで引き続きリーグ戦に臨んでいくはず。しかし、鳥栖に鉄壁の守備網をかいくぐられたこの試合を経て、今後も同様の展開が考えられるなか、より勝てるチームを目指すためにチームとしての修正は求められるだろう。

鳥栖相手に敗れ、今季開幕から築いてきた勝利の方程式を崩されることとなった名古屋。フィッカデンティ率いるチームがこの敗戦を糧にどのように立て直し、引き続き上位争いに加わっていくのかは期待したいところだ。

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