アヤックスからバルセロナに新天地を求めたフレンキー・デ・ヨング。彼もまた、新シーズンの主役候補から外せない。
国内リーグは2連覇中だが、チャンピオンズリーグでは4年連続ファイナルから遠ざかっているバルセロナ。近年はメッシをはじめ、主力が軒並み高齢化。世代交代の必要性が囁かれ始めた。
またメッシ、スアレス、ネイマールがそろい踏みしたMSN以来、傑出したフォワードの決定力に依存し、独自の美しい機能美を失っているという批判の声も上がっている。
アヤックスの最高傑作と称される俊英は、そんな硬直化したバルサを変えるかもしれない。
フィジカルはそれほどではないが、足もとのテクニックに優れ、なによりもゲームを俯瞰する能力に秀でている。だれよりも広い視野、深い洞察力でゲームを見通し、的確にパスを配球して巧みにゲームを組み立てていく。
グアルディオラやシャビの系譜を受け継ぐ、バルサ好みの「賢い」選手といっていい。
スーパースターはひしめくものの、独自のカラーを失いつつあった近年のバルサ。だがデ・ヨングの加入によって、このクラブだけが持つ革新のDNAを取り戻すかもしれない。
最後はイタリアに目を向けよう。ロナウドを獲得しても、届かなかったヨーロッパ制覇。悲願のチャンピオンズリーグ優勝を狙うユヴェントスが迎え入れたのが、アヤックスのマタイス・デ・リフト。デ・ヨングとともに昨季アヤックスの快進撃を支えた、最終ラインの若きリーダーだ。
圧倒的なフィジカルを誇り、次々と敵を撃退。地上戦でも空中戦でも、密集戦でもスペースでの勝負でも、まったく隙を見せない。
守りだけでなく、ビルドアップ能力も非常に高い。左右両足から正確なロングフィードを繰り出し、チャンスを演出。機を見て中盤に持ち上がり、フィニッシュも狙う。
ユヴェントスは今季、ヨーロッパ随一の戦略家サッリを監督に招聘。「トータルゾーン」と呼ばれるサッリ独自の戦術の浸透は、このニュータイプのセンターバックにかかっていると言っても過言ではない。
アヤックスでは、クラブ史上最年少となる19歳という若さでキャプテンを務めた、たぐいまれな統率力の持ち主。底知れぬ可能性を秘めた若き大器が、ロナウドやキエッリーニ、ボヌッチといった偉大なベテランにもまれてワールドクラスへの階段を駆け上がる。
文/熊崎 敬
※電子マガジンtheWORLD No.236、8月15日発売号の記事より転載
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