初めてベスト8を見据える日本 ここからは“自力”で掴み取るしかない

考えさせられたポーランド戦の采配

考えさせられたポーランド戦の采配

ポーランド戦で思い切った決断を行なった西野監督 photo/Getty Images

グループステージ3戦目でみせた西野監督の思い切った決断は、ラウンド16進出につながった。負けている状態でのパスまわしに賛否両論があるのは当然。しかし勝負の世界は過程も大事だが、なによりも結果が重視されて然るべきだ。試合には0-1で敗れたが、この日の最大の目的はラウンド16進出を決めることだった。これを達成したという意味では、正しい決断だったということになる。

自力本願か、他力本願か──。自分ならどちらを選択するか多くの人が考えてみたのではないだろうか? どう判断するかは「個性」によって分かれるのは当たり前で、正否は結果によって決まる。ときには逆の判断が求める答えにつながることもあるだろう。繰り返しになるが、大事なのは出された答えだ。面白くなかろうが、しらけようが、ブーイングを浴びようが、今回は目的を達成した。

サッカーには必ずしも「絶対に負けられない戦いがそこにある」わけではない。時や状況や場合によってさまざまな選択があるわけで、これからはどんな試合なのか、どんな状況なのか、なにが求められるかを考えつつ、メディアも客観的に伝えなければならない。盛り上げるために煽る必要はないだろう。

余計なことを付け加えると、普段の生活のなかで自力か他力かの選択を迫られたとき、筆者は状況によって都合の良いほうを選択する。自力でいけると思えば、積極的にいこうとする。嫌だな、ムリだなと思えば沈黙して流される方向に進む。ポーランド戦の日本は中途半端になることなく、きっちりと他力を選んだ。迷いがなかったからこそ、ラウンド16を引き寄せたのかもしれない。

また、今回の実例はサッカーを通じて自分の思考傾向を知るのにいいかもしれない。まったく問題ないと考えるか、攻めるべきだったと考えるか。あるいは、どちらとも決められないか。こうした思考を試される実例がときおり出てくるのが、サッカーの楽しいところでもある。

ベルギー戦は“おまけのプラス1”ではない

ベルギー戦は“おまけのプラス1”ではない

第1戦と第2戦でチームを引っ張ってきた乾や大迫を、ポーランド戦ではベンチスタートさせた photo/Getty Images

さて、ラウンド16のベルギー戦である。日本は過去に2度この段階に到達している。2002年日韓大会、2010年南アフリカ大会で、前者はトルコに0-1、後者はパラグアイに0-0からのPK戦で惜敗している。決勝トーナメントからがW杯とはよく言われることで、一発勝負のトーナメントで列強国を倒すのは本当に難しい。なぜなら、日本のようなチームはグループステージを突破するのに必死でその後への余力が残っていないケースが多い。

「(ラウンド16は)日本サッカー界にとってはじめてのポイントではない。また経験できる瞬間を得られたが、過去2回はこの時点ですべてを出し尽くしていた」(西野監督)

ポーランド戦後の指揮官に勝ち上がった喜びは少なく、前述した自らが下した決断を振り返るとともにすでに先を見据えていた。たしかに、日韓大会、南アフリカ大会のラウンド16は目標達成後の“プラス1”のような感覚で、勝ち抜く具体策、なにがなんでもという粘り強さがもうひとつ足りなかった。

思い出されるのは、「もう少し早い時間帯に攻撃を意識してもよかったかなと思う。(選手たちに)攻めさせてあげたかったなという気持ちもある」という南アフリカ大会パラグアイ戦後の岡田監督の言葉である。この試合はお互いに失点のリスクを回避する展開となり、0-0のまま延長戦に突入した。岡田監督が3枚目の交代カードとして前線にフレッシュな玉田を投入したのは、残り時間わずかとなった106分だった。

迎えるベルギー戦では後悔を残してほしくない。ここからは他力は叶わず、自力で勝利をつかみ取っていくしかない。

「気持ちでいままで以上に有利なスピリットを持って戦えるようにしたい。精神的にいままで(ラウンド16に進出した2大会)と違うメンタルを持たせたい。『グループステージを突破できてよかった』ではない精神状態に持っていきたい」(西野監督)
 
W杯6大会連続出場で3度目のラウンド16ともなると、とらえ方や考え方が変わってくる。今回は“プラス1”の戦いではない。日本、ベルギーともにグループステージ3戦目は主力を温存している。「自分のスタイルは攻撃的。選手にも選択肢があるときは、より強いほうを選べと言っている。攻撃参加するかしないかのときは、するほうを選べと伝えている。常に強い選択を求めている」と指揮官が語るアグレッシブなサッカーが、ピッチで具現化されることを期待したい。

文/飯塚 健司
サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より6大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。Twitterアカウント : scifo10
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