代表チームは“監督力”で変わる “現No.1代表監督”は誰だ

イタリアをEURO制覇へ導いたマンチーニ photo/Getty Images

黄金世代を活かせないケースも

ジョゼップ・グアルディオラ、ジョゼ・モウリーニョ、カルロ・アンチェロッティらはサッカー界を代表する名将と呼ばれてきたが、彼らはクラブでの仕事がメインだ。この3人も代表監督の仕事は経験していない。

名将と呼ばれる指揮官たちはクラブの仕事の方に集中している印象が強く、代表監督の方で名将と呼ばれる者は現在は多くない。代表監督の中には目立った成績を残していない人物も多いのだ。

例えばイングランド代表はガレス・サウスゲイトが長く指揮しているが、サウスゲイトはクラブ監督の方ではタイトルを獲得していない。EURO2020で準優勝の成績を収めたことで評価は上昇したが、それまでは手腕を疑問視する声も目立った。タレントを抱えている割に塩試合が多いなんて意見もある。
今のイングランド代表はハリー・ケインやジェイドン・サンチョなど優秀なタレントを多く抱えているだけに、それこそグアルディオラのような人物が指揮していれば結果も内容も変わると考えるサポーターも多いだろう。監督が選手たちの能力を最大限引き出せているかは微妙なところだ。

似たケースではベルギー代表監督のロベルト・マルティネス、ポルトガル代表監督フェルナンド・サントス、アルゼンチン代表監督リオネル・スカローニらの名前も挙げられる。

現在のベルギーとポルトガルは世界的なタレント軍団だが、マルティネスとサントスには欧州5大リーグのビッグクラブを指揮した経験がない。ベルギーの場合はマルティネスの前任である同国代表OBのマルク・ヴィルモッツも指揮官として経験が浅かった。

ベルギーはエデン・アザールを筆頭に黄金世代と言われ続けてきただけに、真の名将が指揮していればワールドカップやEUROでの成績も違ったものになっていたかもしれない。ここの人選はやや残念か。

現在アルゼンチン代表を指揮するスカローニもクラブでの監督経験はない。2010年のワールドカップ・南アフリカ大会では監督経験の浅い故ディエゴ・マラドーナ氏にチームを託すなどアルゼンチンの監督人事はチグハグしたところもあり、リオネル・メッシの才能を引き出し切れていない印象が強い。

スペイン代表を指揮するルイス・エンリケ photo/Getty Images

クラブで成績残している指揮官が理想

やはりビッグクラブでの実績は説得力があり、その点ではEURO2020を制したイタリア代表監督ロベルト・マンチーニはベストに近いか。インテルやマンチェスター・シティでリーグ制覇の経験があり、大物選手の扱いにも慣れている。

先日そのイタリアを撃破してネーションズリーグ決勝へ駒を進めたスペイン代表監督ルイス・エンリケもバルセロナ時代に3冠を獲得した実績がある。

その点ではバイエルンで2019-20シーズンに3冠を達成したばかりのハンジ・フリックに託したドイツ代表、アヤックスやバルセロナなど経験豊富なルイ・ファン・ハール再登板を決めたオランダ代表には期待できるか。両名ともチャンピオンズリーグを制覇した実績があり、ファン・ハールの場合はオランダ代表でも確かな結果を出している。

フランスの方は、ジネディーヌ・ジダンの就任を待っているファンも多いだろう。レアル・マドリードで名将の評価を得たジダンならば、フランス代表を一段上のレベルへ引き上げてくれるのではないか。

代表チームの場合は集結する機会も限られるため、じっくりチームを作ることは難しい。試合の状況に合わせて柔軟に対処し、とにかく結果を出すことが求められる。クラブの仕事より難しいと言っていいだろう。

これが出来る指揮官は世界的にも限られており、やはり世界最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグや欧州5大リーグで結果を出してきた人物が理想的か。

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