まるでカンセロ 日本代表の歴史的大勝を呼び込んだ、松原健のポジショニング

モンゴル代表戦で、右サイドバックとして先発した松原健 photo/Getty Images 

モンゴル代表を自陣に閉じ込める

カタールW杯のアジア2次予選が3月30日に行われ、グループFの日本代表がモンゴル代表に14-0で勝利した。

25日の韓国代表戦(親善試合)と同じく、[4-2-3-1]という布陣でこの試合に臨んだ日本代表は、前半だけで5得点をマーク。左サイドハーフで先発した南野拓実が、同13分に右サイドバックの松原健のクロスに反応し、先制ゴールをゲット。23分にワントップで起用された大迫勇也がセンターバックの吉田麻也からの縦パスを受けて追加点を挙げると、26分にもトップ下で起用された鎌田大地が、右サイドハーフの伊東純也のクロスに合わせて3点目を奪取した。

33分にも伊東のクロスにボランチの守田英正が合わせ、日本代表のリードは4点に。39分には松原のクロスが相手DFハシュエルデネ・トゥヤのオウンゴールを誘った。
後半も日本代表は攻撃の手を緩めず、同10分にはコーナーキックのこぼれ球を拾った鎌田のクロスに大迫が合わせて得点。同23分には途中出場のMF稲垣祥がミドルシュートでゴールを挙げ、日本代表のリードは7点に広がった。

日本代表を率いる森保一監督は、後半26分に南野に代えてFW古橋亨梧を投入。同28分に古橋のシュートのこぼれ球を伊東が押し込むと、33分にも古橋がヘディングでゴールゲット。直後の34分には伊東が右サイドからのドリブルでゴールを挙げ、スコアを10-0とした。

その後も貪欲にゴールを狙った日本代表は、同41分にFW浅野拓磨からのパスを受けた古橋、46分に松原のパスに反応した浅野が相手最終ラインの背後に抜け出してゴールを挙げ、リードを12点に。47分に大迫、48分に稲垣が加点し、大勝劇に華を添えている。

先制ゴールを挙げた南野を祝福する松原。偽サイドバックの役割を全うし、日本代表の攻守を引き締めた photo/Getty Images 

松原が序盤の猛攻を下支え

数多くの選手が躍動したこの試合で日本代表の攻守を支えていたのが、右サイドバックの松原。現所属先の横浜F・マリノスで、自チームのビルドアップの際にボランチの脇やハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)にポジションをとる“偽サイドバック”の役割を経験している同選手は、この試合でもその役割を全うした。

キックオフ直後から、適宜ボランチの守田の横に立ってミドルゾーンでの数的優位確保に貢献したほか、前半25分40秒すぎにセンターサークル付近から伊東へ送った縦パスは、日本代表の3点目に直結。加えて、大外に張った伊東を内側から追い越すインナーラップで、右サイドからの攻撃を活性化させていた。

また、味方が敵陣でボールを回している際にあえてハーフスペースに留まることで、モンゴル代表のカウンターの芽を摘む形に。キックオフから30秒すぎに早速敵陣中央でボールを奪い、味方の波状攻撃に繋げてみせたほか、前半21分50秒すぎにも敵陣ペナルティアーク付近で相手からボールを奪い、このプレイが2点目の起点となった。

この試合で松原が全うした“偽サイドバック”という役割は、現在マンチェスター・シティでプレイしているDFジョアン・カンセロも担っている。今回のモンゴル代表戦で日本代表は、W杯アジア予選での1試合中の最多ゴール記録を更新(それまでは、1997年6月22日のマカオ代表戦で挙げた10得点が最多)。この大勝劇の陰の立役者は、まるでカンセロのように偽サイドバックの役割を完遂した、松原と言って差し支えないだろう。

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