ストライカーにも明暗くっきり たかが1試合と割り切るにはあまりにも大きかった大阪ダービーの結果

加藤の劇的な決勝点で決着(画像はイメージ) photo/Getty Images

G大阪は1-2と敗れた

 大阪の盟主はどちらか。公式戦60試合目となる大阪ダービー。パナソニックスタジアム吹田には34,517人のサポーターが駆けつけた。ただここ数年の大阪ダービー、それもリーグ戦においては明らかに顕著な傾向が見られる。それは過去7戦でC大阪が5勝2分と圧倒していることだ。そして結果的にはこの試合も……。

 内容ではG大阪が優りながら、耐え忍んだC大阪が90分に決勝ゴールを決めて勝利。無敗記録は尚も続くことになった。

 試合後、ゴールに絡んだ、あるいは絡めなかった双方のFWに話を訊いた。
 まずは途中出場し決勝ゴールを決めたC大阪の加藤。

「僕にできることは結果を残すだけだったので。悩みもありましたが、結果を出して吹っ切れた部分もあります。(ゴールにつながるクロスは)少し滞空時間があったので、その時に考えて、とにかく叩きつける。ふかさなければ入る自信がありました。叩きつけて入らなければ、GK褒めるしかない」

「去年から山中選手には多くアシストしてもらっているので、お互い目が合った中で上げてもらったクロスでした」

「(ダービーの雰囲気には)奮い立ちました。僕はこっちの出身ではないですが、話にも聞いていて、歴史あるダービーで、僕はセレッソの勝利のためにやっていますが、その中で決められたのは興奮しました。(監督から)内容は少々不細工でもいいという話がありました。気持ちを見せてとにかく勝利を。内容がいいわけではなかったので、結果を出せたのはやりたかったことができました。全員の意識が疲れているときは守備ラインが引いてしまうので、僕が出て押し返して欲しいといわれていました。それができたかなと思います」

 その加藤のゴールの起点となるとともに、ゴール前に走り込み相手DFを引き付け、加藤をフリーにした北野は
「ガンバも間延びしてきて、ああいうところはチャンスになると思っていました。監督からも『(スペースが)空くぞ」』といわれて送り出されました」と狙っていたようだ。

「プロになってからダービーは負けていません。普通の試合ではないし、日本中が注目する試合。アカデミーの時から負けたらあかんって育ってきました。素晴らしい舞台で、沢山のサポーターが駆けつけてくれ、勝つことができて何よりも良かったです。改めてこういう舞台で活躍したいなって思いました」

 一方のG大阪は内容では圧倒しながら、最後の最後にC大阪のカウンターに沈んだ。最前線で攻撃をリードしたイッサム・ジェバリは悔しさを隠さなかった。

「ゲーム運びはよかったと感じています。前半も主導権を握った感触があったのに先制点を許し、後半も自分たちが主導権を握り同点にしたのにも関わらず失点をしてしまいました」

「失点が多いのは否定できません。Jリーグのチームはカウンターで突いてきます。そこの改善点はしっかりとチームとして見出さないといけないと思います。自分たちのスタイルではボールを握りたい、そして得点したいというのはあります。そこをうまく組み合わせられるように毎日の練習で磨いていくしかありません」

 ただサッカーの方向性が間違っているとは微塵も考えていないようだ。

「自分たちのやっているサッカーは結果は出ていませんが、疑いはありません。それをきわめていかないと。監督が求めているものをこなしていく中で、選手が切磋琢磨して結果を出していかないといけません。違うスタイルで勝っているチームもありますが、それで疑問が生まれるようなことは自分の中ではありません」

「最後得点に近い場面がありましたが、相手GKのスーパーセーブがありました。自分もボックスで仕掛けてはいますが、残念ながらそこにボールが到達していないということもあります」

 大阪ダービー、明暗は大きくわかれた。C大阪は泥臭く戦い、機能しないとみると[4-3-3]から[4-4-2]に切り替えるなど戦術的な幅を見せながら、結果につなげた。上位追撃のために自信を取り戻す勝ち点3となっただろう。

 一方のG大阪は自分たちの良さは出したものの、ゴールを奪えず、相手のカウンターに沈むというこれまで通りの悪癖を披露することになった。振り返れば最下位横浜FCとはわずか勝ち点1の差でしかない。

 シーズン序盤のたかが1試合と割り切るには大きな意味を持つ試合だった。

 文/吉村 憲文

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