セミファイナリストにプレミア勢が4クラブも 王座を奪還したイングランドに黄金時代が到来している理由とは

レアル・マドリードで勝利を収めたマンチェスター・シティ photo/Getty images

シティとリヴァプールは先勝を収めた

21-22シーズンも終盤に突入しており、欧州を舞台とするコンペティションも準決勝まで進んでいる。その中で目立つのはイングランド勢の躍進だ。CLではマンチェスター・シティとリヴァプールが、ELではウェストハムが、ECLではレスター・シティがセミファイナルにまで残っている。3つのコンペティションでイングランド勢は最多の4クラブが残っており、次の勢力としてはドイツの2クラブ、スペインの2クラブのみだ。

13-14シーズンから5シーズンの間、CLの王者はレアル・マドリードとバルセロナのリーガ・エスパニョーラのクラブであり、スペインが欧州を支配していたが、それも変わりつつある。18-19シーズンはトッテナム対リヴァプール、昨季はチェルシー対マンチェスター・シティの同国対決がファイナルであり、今季もそうなる可能性が高いとみられている。

英『The Athletic』ではなぜスペインからイングランドに欧州サッカーの中心が移り替わりつつあるのかを分析しており、いくつかの答えを導きだしている。

その一つに収益の平等な分配がある。イングランド以外の5大リーグであるスペインやイタリア、ドイツ、フランスは上位クラブに収益が集中する構造となっており、競争力が高まらないのだ。イングランドはその差が少なく、各チームが十分な補強をできるだけの金額が入る。そのため、現在はBIG6に追いつきそうなクラブとしてウェストハムやウルブズ、今季はやや不調だがレスター・シティが牙城を崩そうとしている最中だ。ニューカッスルは買収で大きくなったクラブだが、彼らも今後はBIG6の脅威となるだろう。

また、収入がイングランドが5大リーグでトップであることも理由だ。プレミアリーグの年間総収入は43億ポンド以上といわれており、2番目に多いブンデスリーガの27億ポンドを大きく上回ることになる。そのため、クラブの価値は年を重ねるごとに増しており、世界で最も価値のある11クラブのうち、6つがプレミアクラブだという。また、プレミアリーグの最高経営責任者であるリチャード・マスターズ氏が3月のインタビューで「放映権料で得られる金額が今後3年間で105億ポンドになる」とコメントしており、前述した年間収入がより増えることになるか。

その収益をそのまま選手獲得に費やすのも悪くないが、イングランドは若手にその一部を投資している。2012年に若手育成のプランを改革し、コーチや施設に投資を行ったという。それが現在は功を奏しており、データサイト『FootballBenchmark』が独自で価値を設定した選手のランキングでは、トップ20にフィル・フォーデン、トレント・アレクサンダー・アーノルド、ハリー・ケインらをはじめとした8人のイングランド人選手がランクインしている。特にフォーデンやA・アーノルドら20代前半の選手は前述した改革の恩恵を受けている。

加えてイングランド勢で近年目立つのは、世界的名将の招聘だ。シティはジョゼップ・グアルディオラ、リヴァプールはユルゲン・クロップ、トッテナムはアントニオ・コンテ、チェルシーはトーマス・トゥヘルと他リーグで十分な結果を残した指揮官を呼び、彼らに莫大な資金を有効に活用してもらい、チームの底上げに成功している。特にシティはトップチームだけでなく下部組織にもペップの哲学を色濃く伝えており、U-23とU-18のチームはそれぞれ所属リーグで優勝を成し遂げている。フィル・フォーデンに続く若手も育ってきており、育成に長けた監督を呼ぶことでさらなる利益を得ている。

このように巨大な収益を各クラブに分配し、さらに若手育成に手を入れここまでの成功を収めることに成功したプレミアリーグ。欧州のコンペティションに残っているチームの数がそれを証明しており、CLではシティとリヴァプールが1stレグで先勝を収めている。プレミアの選手を軸としたイングランド代表も年々強くなっており、黄金時代はすでにやってきているのかも知れない。

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