昨年までは暗い空気が漂っていたが……
2018ロシアワールドカップでは当たり前のように優勝候補に挙げられているが、前回の2014ブラジルワールドカップ終了後のブラジル代表は不安材料の方が多かった。
ブラジルワールドカップでは準決勝でドイツ代表に1-7と大敗し、指揮官がルイス・フェリペ・スコラーリからドゥンガに交代。ドゥンガは2010南アフリカワールドカップでも指揮を執っており、規律を重視するスタイルでもう1度ブラジルを立て直すことが期待されていた。
ところが、ブラジルの低迷は止まらなかった。コパ・アメリカ2015では準々決勝でパラグアイ代表に敗れ、翌年のコパ・アメリカ・センテナリオではまさかのグループステージ敗退を喫している。当時はブラジルがこのまま落ちていくかとも思われたのだが、この1年で状況は大きく変わった。
英『Daily Mail』も現在指揮を執るチッチの手腕を称賛しており、チームはロシアで優勝候補に挙げられるにまで立ち直った。前線にマンチェスター・シティで活躍するガブリエウ・ジェズスが加わったのも大きく、ジェズスが前から相手を追いかけてくれることもブラジルの安定した戦いに繋がっている。
また同メディアはチッチがカルロ・アンチェロッティのスタイルを参考にしていることを伝えており、チームはよりバランスを重視したものになっている。さらに先日の日本代表戦後の会見でチッチの言葉にFWネイマールが涙を流す場面もあり、同メディアはチッチがそのカリスマ性から選手たちと良い関係を築いていると称賛している。
今のブラジルはすっかりポジティブな空気で溢れているが、チッチの手腕が大きいことを忘れてはならない。チッチがチームを指揮していなければ、厳しい南米予選をあれほど楽に突破するようなことはなかったかもしれない。