智将アッレグリを出し抜いた“41歳指揮官” セリエA屈指のポゼッション軍団にユヴェントスたじたじ

ユヴェントスを下し、敵地に駆けつけたサポーターと勝利を祝ったディオニージ監督 photo/Getty Images

ユヴェントスの隊形変化に対応

昨季のセリエA1試合あたりのボール支配率が60.8%と、ロベルト・デ・ゼルビ前監督のもとでポゼッションサッカーを磨き上げたサッスオーロ(データサイト『SofaScore』より)。

今夏にアレッシオ・ディオニージ氏を新監督に据えた同クラブは、27日のセリエA第10節で、智将マッシミリアーノ・アッレグリ擁するユヴェントスと対戦した。

この日のユヴェントスの基本布陣は、パウロ・ディバラとアルバロ・モラタを2トップに置いた[4-4-2]。
左サイドバックのマッティア・デ・シリオ(13分にアレックス・サンドロと交代)を高い位置に上げ、右サイドバックのダニーロ、センターバックのレオナルド・ボヌッチとマタイス・デ・リフトの計3人で3バックを形成しながらビルドアップを試みる場面が、何度か見受けられた。

これに対しディオニージ監督擁するサッスオーロは、グレゴワール・デフレルをセンターFWに、ジャコモ・ラスパドーリとドメニコ・ベラルディをウイングFWに据えた[4-1-2-3]の布陣で臨み、3トップがユヴェントスの変則的な3バックを捕捉。

ハイプレスを掻い潜られそうな場面では、ダヴィデ・フラッテージとハメド・ジュニオール・トラオレの2インサイドハーフ、及び両ウイングFWが素早く後退し、[4-1-4-1]の陣形で自陣バイタルエリアを封鎖していた。

サッスオーロの3トップを起点とする数的同数のプレッシングや、自陣への撤退守備に手を焼いたユヴェントスは、最終ラインの面々が効果的な縦パスを繰り出せず。ユヴェントスの攻撃を停滞させたサッスオーロは徐々にボール支配率を高め、44分に先制ゴールを挙げた。

この場面では、デフレルとベラルディがボヌッチとデ・リフトを引き付けながら味方のパスに反応していたほか、この2人の動きを囮にフラッテージがデ・リフトとサンドロの間を走り抜け、ゴールゲット。敵陣バイタルエリアにおける各選手の役割がディオニージ監督によって整理されており、これが貴重な先制ゴールに繋がったと言って差し支えないだろう。

ユヴェントス戦で決勝ゴールを挙げたM・ロペス photo/Getty Images

後半ATに実を結んだ堅守速攻プラン

DFジェレミー・トリアンとMFマテウス・エンヒキを投入した71分以降、ディオニージ監督は布陣を[5-4-1]に組み直し。途中出場のFWジャンルカ・スカマッカを1トップに据え、自陣後方から丁寧にパスを繋いでいくスタイルから、堅守速攻にゲームプランを変更した。

76分にディバラのフリーキックからMFウェストン・マッケニーに同点ゴールを奪われたものの、5バックと4人の中盤が自陣バイタルエリアやハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)を懸命に埋め続けたことで、ユヴェントスに追加点を与えず。

MFマキシム・ロペスが、後半アディショナルタイムに自陣にいたマッケニーの背後を突き、相手GKマッティア・ペリンとの1対1を制したことで、サッスオーロが2-1で勝利している。

相手の変則的な3バックに即した守備戦術に、それが通用しなかった際の撤退守備、さらには[5-4-1]の布陣を基調とするロングカウンターと、多彩な戦術で智将アッレグリを出し抜いてみせたディオニージ監督。

昨季セリエBのエンポリをセリエAの舞台に導き、今季よりイタリア屈指のポゼッション軍団を束ねている41歳の指揮官が、今後も辣腕を振るいそうだ。

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