若手はどんどん欧州へ行くべきなのか 自国から動かぬ“東京五輪3位組”への不安

東京五輪で3位に入ったメキシコphoto/Getty Images

北中米の力関係は変わるか

昨夏の東京五輪にて3位決定戦で日本代表を撃破し、銅メダルを手にしたメキシコ代表。五輪世代のメキシコはいつの時代も優秀な若手を揃えており、東京五輪のメンバーも実力者揃いだった。

では、その3位メンバーたちは今どうしているのか。五輪で活躍した選手には欧州のクラブが目をつけることになり、日本の五輪メンバーからもFW三笘薫がイングランドのブライトンと契約を結んだり、今も横浜F・マリノスの快速FW前田大然や川崎フロンターレMF旗手怜央のセルティック移籍が決まったばかり。自国のタレントが海外クラブへ流れるケースが目立っている。

その一方で、メキシコのメンバーには動きがない。というのも、ここ最近はメキシコの選手が欧州へ向かわず、自国のクラブで大金を得るケースが増えてきているのだ。
今回の五輪メンバーでは、クラブ・アメリカでプレイしていた23歳FWセバスティアン・コルドバが同じメキシコのティグレスへ、さらにアトラス所属のDFヘスス・アングロも同じくティグレスへ移籍。

23歳FWロベルト・アルバラドはクルス・アスルを去って同じメキシコのチーバスへ、24歳のMFウリエル・アントゥナはグアダラハラからクルス・アスルへ移籍することが決定。

彼らは五輪3位メンバーなのだが、いずれも欧州には向かっていない。五輪メンバーからは21歳のDFヨハン・バスケスがクルブ・ウニベルシダ・ナシオナルよりイタリアのジェノアへレンタル移籍したくらいだ。

自国のリーグが盛り上がるのは良いことだが、『ESPN』はこれがメキシコA代表の強化に繋がっていないのではないかと危惧している。

実際、来年のワールドカップへ向けた北中米カリブ海予選ではカナダ代表に首位を譲っており、最近続々と優れた若手を輩出しているアメリカ代表も力をつけている。このままいくと、メキシコが北中米にて3番手に落ちるかもしれないと不安視されているわけだ。

個の力を上げることが代表強化に繋がるとの理屈は日本サッカー界でも盛んに言われていることで、最高峰のレベルを体感するには欧州へ向かうのが1番だ。メキシコの場合は明らかに海外組が減っているが、欧州へ出たことがない東京五輪世代たちはワールドカップでも戦えるタレントになるのだろうか。

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