スペインの移籍市場においてアトレティコ・マドリードの今夏は二強であるレアル・マドリード、バルセロナを差し置いて最大規模の補強を敢行した。即戦力として8人を加えたが、中でも注目を集めたのはマンチェスター・シティから推定8200万ポンド(約155億円)で移籍したフリアン・アルバレスの存在だろう。
二強の牙城を崩すべく新たなエースとして加入した25歳のアルゼンチン代表はラ・リーガ第7節で対戦した”マドリードダービー”で2得点を挙げて5‐2の大勝に貢献し、名門の度肝を抜くパフォーマンスを披露。リーグ戦11試合全てに先発出場して7ゴール2アシストを決めている。
この活躍からすでに新たなクラブへの移籍の話が出ているアルバレスだが、『France Football』とのインタビューで現在の心境について語っている。
「昨年、PSGは僕を欲しがっていた。スペインではバルセロナとの話が出ている。確かにPSGの監督と僕のエージェントの間で話し合いがあり、彼らは僕との契約に興味を示しましたけれど、それは実現しなかった。今のところ、僕はアトレティコに集中している。シーズンの終わりに考えを出すつもりだ」
「僕がアトレティコに来ることを選んだのは、彼らが僕に提供してくれたスペースのおかげで、ここで自分の居場所を獲得し、最高の自分を発揮できると感じたからだ。アトレティコは過去13年間、毎年チャンピオンズリーグ出場権を獲得した数少ないクラブの1つで、戦うためのメンタリティが明らかだと感じている。ラ・リーガでは二人の巨人と対戦するが、彼らは常にそこ(CLの舞台)にいる」
加えて、今のクラブの象徴ともいえる監督のディエゴ・シメオネとの関係性について語り、チームへの満足感を口にしている。
「僕たちはサッカーに対する同じビジョンを共有している。情熱、ハードワーク、献身、そして2つの巨大なクラブを打ち負かすという野望、決して諦めないこと、常に信じること。ピッチ上では、彼は僕らに自信を与え、完全な自由を与えてくれる。僕たちの関係は非常にポジティブだ」
「(バロンドールの最終候補30人に入らなかったことについて)とても気楽に受け止めたよ。もちろん世界最高の30人の一人になって、こういった重要なイベントにノミネートされることは楽しいことだと思う。それは選手がうまくいっていることを意味するからね。でも、僕は30人の中に入らなくても心配は必要ないし、今とても幸せだ。自分が幸せになるために他の誰かからの褒め言葉は必要ない。サッカーをすることが出来れば僕はもう十分に幸せだよ」
マンチェスター・シティでは実力を評価されながらもアーリング・ハーランドの影でベンチを温めることが多かったアルバレス。アトレティコ・マドリードへの移籍でピッチに立つ喜びを噛み締めている。