現在イングランドと世界を代表するストライカーになったトッテナムFWハリー・ケインには、同世代に強烈なライバルがいた。U-21イングランド代表でも一緒にプレイしたFWサイード・ベラヒーノである。
ともに1993年生まれの2人は、2013年のU-21欧州選手権予選でもチームの主力として前線でユニットを組んでいた。ケインも評価は高かったが、当時はベラヒーノの方が上との見方もあったかもしれない。U-21イングランド代表ではケインが14試合で8ゴール決めているのに対し、ベラヒーノは11試合で10ゴールの大暴れぶりだ。
プレミアリーグでも先手を取ったのはベラヒーノで、当時WBAに在籍していたベラヒーノの初得点は2013年9月のマンチェスター・ユナイテッド戦だ。対してケインは2014年4月のサンダーランド戦でプレミア初得点を奪っている。
2014-15シーズンにベラヒーノはプレミアリーグで14ゴールを記録し、次第にビッグクラブの注目を集めるようになった。ケインが所属するトッテナムも関心を示しており、もしかしたらケイン&ベラヒーノが実現していたかもしれない。
しかしWBAからの移籍が思うように進まず、ここからベラヒーノのキャリアは乱れてしまった。クラブとの関係は悪化し、私生活にも問題があった。ここは優等生タイプと言えるケインとの大きな差だ。ケインが力をつけていったのに対し、早熟型だったベラヒーノはプレミアリーグで居場所を失った。
2017年にストーク・シティへと移籍したが、2年後にはベルギーのズルテ・ワレヘムへ。プレミアを離れることになり、思い描いていたキャリアとは違うルートになってしまった。
昨夏にはイングランド3部相当のリーグ1に所属するシェフィールド・ウェンズデイと契約。昨季はリーグ1で8ゴールの成績を残しているが、ベラヒーノが3部相当のリーグでプレイしていたことを知らなかった人も多いだろう。
そして今夏、ベラヒーノが契約を結んだのはキプロスのAELリマソールだ。フリーでの移籍となり、契約は2年間。これまた意外な行き先である。
8年ほど前はかなり評価の高い選手だったが、才能だけでやっていける世界ではなかったということだろうか。同世代のケインとは大きすぎる差がついており、ベラヒーノは今夏にまたイングランドを離れることになった。