奇跡の復帰を果たしてもフル回転は“リスク大”? ヒメネスの継続起用は慎重に

今季プレミア開幕戦で復帰を果たしたヒメネス photo/Getty Images

今季は見極めのシーズンにすべきか

今季開幕戦で復帰を果たしたものの、2020-21シーズンに選手生命を左右する大怪我を負った男はこれから以前のレベルを取り戻していくことができるのだろうか。その男とは、ウォルバーハンプトンのメキシコ代表FWラウール・ヒメネス。一時は引退の可能性も浮上していた彼だが、不屈の男はピッチに帰ってきている。

昨季プレミアリーグ第10節のアーセナル戦で相手DFダビド・ルイスと接触し、頭蓋骨骨折の大怪我を負ったヒメネス。負傷当初は再びプレイすることが困難と報じるメディアもあったほどだが、同選手は懸命なリハビリを行い今年2月からチームトレーニングに復帰。今夏からは全体練習にも合流し、現地時間14日に行われたレスター・シティとのプレミア開幕戦ではフル出場を果たすまでに回復していた。

しかし、本当に重要なのはここからだろう。レスターとの開幕戦を見るかぎりはもう以前と同じレベルに戻りつつあったヒメネスだが、このパフォーマンスがいつまで続くかはわからない。復帰初戦でフル出場できたことは間違いなくプラス材料だが、頭部の負傷を経験した以上フル回転という起用法には慎重にならざるを得ない。特に、ヒメネスは最前線で身体を張る機会も多いポジションの選手。いかにサポーターを装着しているとはいえ、何度も繰り返しヘディングをさせるのは怖い状況と言える。能力は間違いなく高いのだが、今季はひとまず、どこまでなら継続して試合に出場できるのかを見極めるシーズンにすべきか。
「頭蓋骨を骨折したときは、脳にも少し出血があったみたいだ。迅速に手術を行わなければならなかったんだ。医師たちは本当に良い仕事をしてくれたよ。そして、幸運にも僕はまたピッチに立つことができている。思ったよりも少し治療に時間がかかったけれど、ここにいられることは本当に奇跡だ。いつ、何が起こるかわかないということは本当に実感したね」(英『Daily Mirror』より)

ヒメネス本人もこのように語っているが、今彼がピッチに立つことができているのは奇跡に近い状態と言っていいはず。レスター戦でのプレイは非常に素晴らしいものだったが、今後の継続的な起用に関しては慎重に判断したほうがいいか。再びピッチに帰ってきたことは本当に喜ばしいことではあるものの、何よりも優先すべきは彼自身の命であることに違いはない。不屈の精神で復帰を果たしたヒメネスだが、今後のことも考えれば今季は少し出場数をセーブした方がいいのかもしれない。

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