ここのところ左サイドバックでの出場が多いジャカ
なかなか勝ち星をつかむことができないアーセナルは、ここに来てキーラン・ティアニーの離脱が大きく響いている。左サイドバックとして不動の地位を築いたティアニーは負傷での離脱が多く、代わりにセドリック・ソアレスやブカヨ・サカが左サイドバックに入ることで凌いできた。本来は中盤でゲームを作るグラニト・ジャカもその一人だ。3得点快勝となったシェフィールド戦から左サイドバックを務めているスイス代表MF。23日に行われたエヴァートン戦でも左サイドバックとしてピッチに入った。
本職のプレイヤーが負傷離脱し、別のポジションを務める選手がコンバートされることはよくある話だが、残念ながらこの試合での出来が続くのであれば、今後は別の選手を使うべきかもしれない。
ジャカを左サイドバックに使うメリットとして考えられるのは、高精度の左足から放たれるフィードだ。そもそも中盤でプレイしていた際にも、ティアニーが前線に上がり、左サイドバックの位置にジャカが降りてゲームメイクする形は見られたので、それも考慮しての采配なのだろう。エヴァートン戦でも何本か裏に効果的なパスを出していた。また、本来は中盤の選手ということもあり、足元の技術は安定したものがある。しかし、これらを加味してもジャカを左サイドバックとして優先的に起用するのは疑問が残る。
ジャカの左サイドバック起用で起こるデメリットがいくつかある。まず一つは左サイドからの攻撃の停滞だ。もともとサイドバックの位置からボールの出し手になっていたジャカは同じプレイをするのだが、前線に上がって攻撃参加するティアニーはいないため、左サイドハーフとして先発を務めたニコラ・ペペの前線での孤立が見られた。ぺぺもテクニックがある選手で、一人でクロスまでもっていくことは出来るが、跳ね返されてしまう。サカとカラム・チェンバーズの右サイドのように連携で崩したほうが効果的であると言える。
また、失点に繋がったシーンでの守備に見られたように、守備自体が本職でないこともデメリットだ。確かにGKベルント・レノのキャッチミスであることは確かだが、不用意なタックルをかわされて、リシャルリソンにエリア内までフリーで侵入を許してしまったのはジャカだ。遅らせる動きで味方のカバーを待つという判断が必要だった。
30日にはビジャレアルとのヨーロッパリーグ準決勝が控えている。左サイドバックの人選には慎重になった方が賢明かもしれない。