“31歳の新人MF”がデビュー戦でGK? まさかの初陣を飾った大宮のオールドルーキー

大宮サポーターの前で印象的なデビュー戦に(写真はイメージ) photo/Getty Images

今季アメリカから加入した栗本

J2第6節の大宮アルディージャとファジアーノ岡山の一戦は、前半に大宮が1点を先制するものの後半アディショナルタイムに岡山が同点に追いつき1-1のドローで終了した。この日が大宮でのデビュー戦となった栗本広輝にとっては、一生忘れられない初戦となったことだろう。

今シーズン初勝利を目指す大宮は、1点リードした46分にアクシデントに襲われた。GKの南雄太が必死のブロックを見せ、ピンチを防ぐものの、その交錯により負傷して交代を余儀なくされる。

後半開始早々にGKの交代劇となった大宮だが、67分には途中交代で入った上田智輝もゴールキック時に足を痛めて負傷。GKの代えがいない大宮はフィールドプレイヤーがGKを務めるしかなくなり、霜田正浩監督は難しい決断を迫られる。そこでGKに指名されたのが、この日センターバックでスタメン出場しJリーグデビュー戦となる栗本だった。

栗本は順天堂大学を経て2013年にHonda FCへと入団。チームの主力に成長すると2016年には、JFLでリーグ優勝とMVPを獲得するなど大きな活躍を見せる。翌年にもMVPを獲得した栗本は2019年に渡米し、2部のスイッチバックスFCやOKCエナジーFCといったクラブに所属。今シーズンから大宮へ加入し、31歳にして初めてのJリーグクラブとなった。

想定外の事態に見舞われた霜田監督だったが「一番しっかりとした動揺しないメンタル、責任感が強く声を出せて、『やります』と言ってくれた」栗本にGKを任せる。デビュー戦ながらJFLやアメリカなど経験豊富な31歳は、精神力の強さをチームに還元した。最終的にはリードは守れず同点に追いつかれてしまったが、ステファン・ムークの豪快なシュートは非常に良いコースに決まり、GKとしてはノーチャンスだった。デビュー戦でGKを務めたフィールドプレイヤーは、世界中を探してもなかなか見つからないだろう。そこまでの責任感や経験を培った男が、難しい場面で重要な仕事を引き受けた。

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