[水沼貴史の欧蹴爛漫/ロシアW杯特別編01]新シーズンも要注目!  ロシアW杯で輝いたこの3人

ムバッペの武器はスピードだけではない

ムバッペの武器はスピードだけではない

アルゼンチン戦で鮮烈な2ゴールを挙げたムバッペ photo/Getty Images

水沼貴史です。皆さん、W杯を満喫していますか。私もロシアW杯を欠かさずチェックしていますが、各選手が己のプライドをかけて“負けたら終わり”の真剣勝負に挑む姿に、心を動かされています。今回はロシアW杯に出場している選手の中から、私の印象に残った選手をピックアップしました。彼らの真の魅力は何なのか。プレイの解説を交えながら皆さんにご紹介しましょう。

私の中で特に印象に残ったのは、19歳にしてフランス代表の10番を背負ったFWキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)です。決勝トーナメント1回戦(アルゼンチン戦)で挙げた鮮烈な2ゴールをご記憶の方も多いでしょう。超人的なスピードがクローズアップされやすい彼ですが、彼の魅力はそれに留まらないと、私は考えています。アルゼンチン戦で相手DFマルコス・ロホを抜き去り、PKに繋がるファウルを誘ったシーンをよく見ると、ペナルティエリアに侵入する直前にボールを大きく蹴り出していることが分かります。相手DFの立場で考えると、ボールが彼の足下にあればボールに対してチャレンジにいくことが可能ですが、先にボールを前方に蹴り出されてしまうと、ファウルを犯すしかスピードに乗った彼を止める術がなくなります。64分の逆転ゴールの場面でも、ペナルティエリア内でわざと左側にボールを蹴り出し、アルゼンチンのDFがボールにチャレンジできないような状況を作りだしていました。19歳という若さにして相手DFが嫌がるボールの運び方や置き方を瞬時に選択でき、ビッグゲームで結果を残せる。既にバロンドール候補と目されている彼が、今後どのような成長を遂げるのかに注目したいところです。

僅か1年でフル代表に昇格 ベンタンクールの凄みとは?

僅か1年でフル代表に昇格 ベンタンクールの凄みとは?

ピッチの広範囲を駆け巡り、ウルグアイの攻守のバランスを整えるベンタンクール photo/Getty Images

昨年に行われたU-20W杯で頭角をあらわし、早くもウルグアイ代表(フル代表)の主力に君臨しているMFロドリゴ・ベンタンクール(ユヴェントス)の成長も目覚ましいものがあります。21歳という若さを感じさせない戦術理解力の高さや、攻守のバランスをとるプレイは特筆ものですね。ウルグアイ代表では[4-3-1-2]のトップ下のポジションでプレイしている彼ですが、相手ボールの際には3ボランチが埋めきれないスペースにポジションをとり、味方の守備を助けることもできます。元々テクニカルなプレイヤーであり、前線に積極的に顔を出して攻撃に絡むプレイを得意としますが、守備時のポジショニングに磨きをかけたことで、今やウルグアイ代表に欠かせない選手となりました。2017-2018シーズンより在籍しているユヴェントスでは先発出場の機会が多くありません。しかし今大会での活躍が認められ、所属クラブでもレギュラーの座を勝ち取る可能性は大いにあるでしょう。来季以降のパフォーマンスに期待したいですね。

クロアチアの躍進を支える“陰の実力者”

クロアチアの躍進を支える“陰の実力者”

非凡なパスセンスや推進力溢れるドリブルに定評があるブロゾビッチ photo/Getty Images

フランスW杯以降、国際舞台で振るわなかったクロアチア代表も、ロシアW杯では決勝トーナメントに駒を進めました。そのクロアチア代表の中でMFマルセロ・ブロゾビッチ(インテル)の成長が際立っていると、私は思います。元々司令塔タイプであり、攻撃面で力を発揮する選手でしたが、今大会では守備面での貢献が光っています。イヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)やルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)といったビッグネームのプレイぶりに目がいきがちですが、彼らが攻撃面で自由に振る舞ったり、心置きなく敵陣でプレッシングをかけられるのは、ブロゾビッチが的確にポジションをとり、自陣に侵入してくる相手を潰しているからです。特にグループリーグ第2節(アルゼンチン戦)での彼の守備面での貢献度は高かったですね。この試合では相手のエースであるリオネル・メッシの監視役を担い、見事にその役割を完遂しました。一時期はボランチでのプレイを望んでいないふしが見受けられましたが、今では与えられた役割を受け入れ、攻守両面で献身性を発揮できるMFへと変貌を遂げました。彼の元々の魅力であるカウンターの起点となるパスや推進力溢れるドリブルは勿論のこと、今後は彼が守備時にどのようなポジションをとっているかに注目してみて下さい。彼の成長ぶりが窺い知れるはずです。

一時代を築いたメッシの目の前でムバッペが躍動する姿を目の当たりにし、私自身、新たな時代の到来を感じました。ロシアW杯を連日ご覧の皆さんには、次から次へと新たなスターが誕生するサッカー界の醍醐味を感じ取ってほしいですね。4年に一度のサッカーの祭典も残り僅かとなりましたが、どうか心行くまで楽しんで下さい!


水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。


theWORLD218号 2018年7月7日配信の記事より転載
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