【欧州5大リーグの勢力地図#5】王者バイエルンの6連覇は盤石 高すぎる壁にどこまで抗えるか

有能な選手はバイエルンへ 来シーズンの補強も内定済み

有能な選手はバイエルンへ 来シーズンの補強も内定済み

バイエルンは8月5日に開催されたドルトムントとのDFLスーパー杯を制し、今季一つ目のタイトルを獲得した photo/Getty Images

セリエAではユヴェントスの7連覇に待ったをかけるチームが出てきたが、ブンデスリーガにおけるバイエルンの立場は盤石だ。もし、6連覇を阻まれたとしたら、それは大きな波乱だ。各クラブの保有戦力を客観的にみれば、ブンデスリーガのなかでバイエルンの陣容が抜きんでているのは明らかで、長いシーズンを戦ったあとに他クラブがこの絶対王者よりも上にいくのは限りなく不可能に近いミッションだ。

シーズン前に実施された『ドイツ通信社』のアンケートによると、バイエルンのカルロ・アンチェロッティ監督を除く17名のうち、実に13名の指揮官が優勝候補としてバイルエンを挙げている。これが現実で、かなり高い確率で6連覇が達成されるだろう。

フィリップ・ラーム、シャビ・アロンソが引退し、ドウグラス・コスタが移籍するなど昨シーズンまでの主力数名が抜けたが、バイエルンの動きは早く今年3月の時点でニクラス・ジューレ、セバスティアン・ルディという2人のドイツ代表の獲得が決定していた。移籍に関して「自分の限界に挑戦したいと思った」と語ったのはルディで、「バイエルンは世界のトップ。それより上のクラブはないよ」とはジューレである。2 人がプレイしていたホッフェンハイムは昨シーズンを4位で終えてUCL出場権を獲得した好チームだが、それでも選手はバイエルンへの移籍を選ぶのである。

ライバル関係にあるドルトムントでプレイする選手でもこれは変わらず、過去にはマリオ・ゲッツェ(その後に出戻り)、ロベルト・レヴァンドフスキ、マッツ・フンメルスが移籍。 シャルケの“アイドル”だったマヌエル・ノイアーも、強烈なブーイングを浴びつつバイエルンへの移籍を選択したひとりだ。

要は国内の有望選手が集結するわけで、必然としてその選手を引き抜かれたチームは戦力がダウンし、バイエルンの一強体制が強まることになる。こうした流れがあるうえに、もちろん国外からも良質な選手を補強している。今シーズンは中盤にコランタン・トリッソ、ハメス・ロドリゲスを獲得し、失った選手の穴を的確に埋めている。

チーム強化が順調に進み、成績も安定していることでバイルエンは先々を見据えた動きができている。今シーズン開幕前の段階で、すでに来シーズンに獲得する選手との交渉が進み、シャルケからレオン・ゴレツカ、レヴァークーゼンからユリアン・ブラントを獲得することが内定しているとの情報が現地メディアに出ている。両クラブともに上位を狙える好チームだし、両選手ともすでにドイツ代表でプレイ経験がある。こうした選手の流れがあるなか、他クラブがバイエルンを倒すのは至難の業となっている。

優勝を争うのはドルトムント しかし現実は厳しいか……

優勝を争うのはドルトムント しかし現実は厳しいか……

ライプツィヒのヴェルナーは昨シーズン21得点し、チームを2位へと導いた photo/Getty Images

昨シーズンはライプツィヒが2位となったが、バイエルンとの勝点差は15だった。選手の能力を引き出すのがうまいモチベーターであるラルフ・ハーゼンヒュットル監督のも と、ティモ・ヴェルナー、ナビ・ケイタといった若い選手たちが献身的な動きをみせるライプツィヒのサッカーは魅力的で、昨シーズンのブンデスリーガを席巻した。ビッグネー ムに頼らないのが特徴で、今シーズンも系列クラブであるレッドブル・ザルツブルクからコンラッド・ライマー、PSGからジャン・ケビン・ オギュスタンといった若手を獲得するにとどまっており、組織力で勝負を挑むことになる。

問題はこうしたスタンスのチームがバイエルンとの勝点15差を埋められるかどうかだが、現実はかなり難しい。なにしろ、ライプツィヒは決して厚くない選手層でUCLも戦わなければならない。若い選手が多い新興クラブにとって、今シーズンは試練の1年になるかもしれない。

ホッフェンハイム、ケルン、ヘルタ・ ベルリンといった昨シーズンに上位進出した各チームも同様で、前述したとおりホッフェンハイムは2名の主力を抜かれているし、ケルンもチーム得点王のアントニー・モデストが移籍した。ヘルタ・ベルリンにしてもビッグネームは獲得しておらず、バイエルンと覇権を争える戦力ではない。

シャルケ、レヴァークーゼン、ボルシアMG、ヴォルフスブルクなどは本来上位に食い込むべきチームだが、いずれも不本意な昨シーズンを過ごしている。そのため、シャルケとレヴァークーゼンは新監督を迎えており、チームが仕上がるまでに時間がかかりそうだ。ボルシアMG、ヴォルフスブルクも上位進出はあったとしても、バイエルンの牙城をどうこうといえるチームではない。

こうして各チームをみていくと、バ イエルンと戦えるのはやはりドルトムントしかいない。ただ、ピーター・ボス監督を招聘した1年目で未知数であり、マティアス・ギンター、スヴェン・ベンダーも移籍している。今後、エムレ・モル、ピエール・エメリク・オバメヤン、ウスマン・デンベレといった選手が抜けるとさらなる戦力ダウンとなる。マリオ・ゲッツェは長期離脱明け、香川真司も 負傷から復帰したばかり、マルコ・ ロイスはリハビリ中と、ドルトムントは不安を抱えたなかでて開幕を迎えることになる。

それでも、保有戦力から判断するとバイエルンに続かなければならないのはドルトムントで、冒頭に紹介した『ドイツ通信社』によるアンケートでも1人の指揮官がドルトムントが優勝すると解答している(残り3名は明確な解答なし)。

シーズンは長く、戦前の予想はアテにならないことが多い。プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラは優勝予想が難しく、実際に混戦となるケースが多い。ただ、ブンデスリーガは長くバイエルンが王座についており、有能な選手が次々に加入する流れもできている。同じリーグを戦う17名の指揮官のうち、13名が「バイエルンが優勝候補」と答える構図ができてしまっているのだ。この牙城を崩すのは、並大抵のことではない。


文/飯塚 健司
サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より5大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。

theWORLD189号 2017年8月23日配信の記事より転載
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