【欧州5大リーグの勢力地図#1】ネイマールはメッシになれるか? 風雲急を告げるリーグ・アンに激闘の予感

注目度高まるリーグ・アン ネイマールの新たな挑戦が始まる

注目度高まるリーグ・アン ネイマールの新たな挑戦が始まる

今夏にバルサより加入したネイマール photo/Getty Images

17-18シーズンの移籍市場を早くも騒がせたリーグ・アン。連日のように獲得/引き抜きの報道がなされ、 欧州リーグの中でも注目度の高まりがうかがえる。なかでも、ネイマールを史上最高額の移籍金で獲得したパリ・サンジェルマンが優勝候補の筆頭だろう。 ネイマールには背番号10とメッシ待遇が用意されていた。左ウイングのポジションから中へ入ってパスを受け、攻撃の仕掛けからフィニッシュまでを行う。起点となるポジションがメッシとは左右逆だが、役割はバルセロナにおけるメッシと同じだ。PSGで「ネイマール」になるのは右のディ・マリア。守備のときはネイマールとカバーニが前線に残り、バランスをとってディ・マリアが引くことが多い。この 攻守のメカニズムもバルセロナと同じである。 つまり、ネイマールにとっては得点 とアシストを量産して「メッシ」になれるかの挑戦であり、PSGは「バルセ ロナ」になれるかの挑戦といえる。 ワーキングウインガーとしてバルサで のネイマール役にあたるディ・マリアは運動量もスピードも十分、脇役適 性はネイマールよりある。10番ネイ マールを背後から支えるラビオ、左サイドに進出するクルザワともに、本家バルサのラキティッチ、ジョルディ・アルバよりむしろ適性があるぐらい。その他のポジションも盤石といえる布陣。すべてはネイマールしだいだ。 対して、昨季のチャンピオン、AS モナコは主力の流出が止まらない。 攻撃の中心だったベルナルド・シウバ、最重要選手だったバカヨコ、強力なSBメンディ、FWジェルマンが移籍。若きエースのムバッペの動向も定かでない。ただ、昨季の躍進によってこうなることは想定内だ。ベル ナルド・シウバの後釜にはマンチェスター・シティからロペスを、メンディのポジションにはフラメンゴからジョルジを補強した。どちらも21歳、有望な若手だ。昨季のチームも若手を育てながら作り上げた。ピークを迎えるのは数年後かもしれないが、新たなサイクルを始動させている。

ジャルディム監督は明快な[4-4-2]システムを継続していて、新加入 の選手にもわかりやすく馴染みやす い。戦術自体が若手を育てるのに向 いていて、かつて40年間の長期政 権を敷いたオセールのルー監督を思わせる。若手育成と移籍で財政基盤を作り、数年に1回はタイトルを狙う手 法はフランスのクラブチームらしい。

リヨン、ニースは準備万端 酒井のマルセイユも勝負をかける

リヨン、ニースは準備万端 酒井のマルセイユも勝負をかける

攻守にわたる奮闘が高い評価を受けている photo/Getty Images

07- 08シーズンにリーグ7連覇を達成して以来、栄冠から遠ざかっているのはリヨン。エースのラカゼットがアーセナルへ移籍し、トリッソもバイエルン・ミュンヘンに引き抜かれた。ただ、昨季の冬のマーケットで すでにデパイを補強していて、今季はレアル・マドリードでジダン監督のお気に入りだったマリアーノ・ディアスを獲得した。フェキル、トラオレの既存選手とのコンビネーションが確立されれば、タイトルへ挑戦する準備は整いそうだ。一方、昨季序盤の台風の目だったニースはスナイデルを獲得した。昨季のバロテッリに続くビッグネームだ。リーグ屈指の司令塔であるセリが後方、スナイデルが前方でコンビを組めば強力な 中盤になるだろう。ファーブル監督の下、丁寧なパスワークと爆発的な得点力で旋風を起こした昨季のチームをスケールアップさせようとしている。DFの中心となるダンテから、セリ、スナイデル、バロテッリと縦軸が揃った。そして酒井宏樹の所属するマルセイユは、いつになく安定している。 フロントの混乱と強化の迷走が常だったカオスのクラブも、昨季途中でオーナーが交代した後はすっかり落ち着いた。ガルシア監督を迎え入れ、冬の市場でウェストハムからフランス代 表のパイェを獲得。ベテランのエブラも加入した。今季はGKマンダンダ、DFラミ、MFグスタボ、FWジェルマンと縦軸を固める堅実な補強。実績のある面々が揃い、今季はいよいよ勝負をかける陣容が整った感じだ。酒井は昨季のオーナー交代前に、お金のかからない補強として加入した。しかし、堅実なプレイでシーズンを通してレギュラーポジションを確保、評価を高めた。新オーナーと新監督が就任し、補強を本格化してからも変わらず活躍している。右サイドで組むトヴァンとの相性もよく、スター選手たちの間でも堂々たるプレイぶりだ。あまりにも盤石なので競争相手になる選手は加えられそうだが、 ポジション争いに勝ち残ってほしい。 中盤の底にブラジル代表のグスタボを据えられたのは大きいだろう。 セビージャから来たセンターバックのラミとともに守備の安定をもたらすはずだ。組み立ての中心になるのは 19歳の逸材マキシム・ロペス。小柄で細身、パワフルなリーグ・アンでやっていけるのか心配になるぐらいの外見だが、高度なテクニックと戦術眼、敏捷性で昨季デビューするや 中心選手に収まった。前線は左右にフランス代表のパイェ、トヴァン。この2人が仕掛けを担当する。パイェは ヨーロッパ最高クラスのFKキッカーでもある。モナコから来たジェルマンは典型的な点取り屋というよりも、何でもこなすユーティリティーなFWだ。

レスターにおける岡崎慎司と似ている。モナコではムバッペが台頭するまではファルカオとコンビを組んでいた。ただ、マルセイユにはファルカオのようなエースがいない。ジェルマン 自身がエースになることを期待されて いる。その期待に応えて得点を量産できるか、あるいはパイェやトヴァンと連係することで別の貢献の仕方をするのか。ある意味、今季のカギを握る選手かもしれない。

文/西部 謙司

1995年から98年までパリに在住し、サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスとして活動。主にヨーロッパサッカーを中心に取材する。「フットボリスタ」などにコラムを寄稿し、「ゴールへのルート」(Gakken)、「戦術リストランテⅣ」(ソル・メディア)など著書多数。Twitterアカウント:@kenji_nishibe

theWORLD189号 2017年8月23日配信の記事より転載

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