今も遺恨残る
昨年にマンチェスター・ユナイテッドを解任されたオランダの名将ルイ・ファン・ハールが、赤い悪魔への恨み節を口にしている。
66歳の怒りはいまだに収まっていない。2014年にW杯の晴れ舞台を戦い終えるや否や、オールドトラッフォードへと舞い降り、ディビッド・モイーズの後任として名門の復権を託されていたV・ハール。天文学的な補強資金と世界最高の名誉を手にし、“アレックス・ファーガソン超え”を目指した同監督だったが、その戦績は多くのサポーターを満足させるものとはならず、2015-16シーズン終盤のFA杯優勝後にその任を解かれてしまう。
だが、彼がその非情な別れ方を決して許すことはない。『AD』の取材において、V・ハールは怒りを噴出させている。
「マンチェスター・ユナイテッドが私にクビを勧告してきたのは、それがメディアにリークされた後のことだったんだよ。私にとってあの出来事は人生最大の屈辱だ。彼らは私に一切の相談もせずに決めてしまったのさ」
より平和的な終焉の方法もあったかもしれない。少なくとも彼はそのように指摘した。
「モウリーニョを就任させる計画があるということを事前に私に話してくれれば、私は素直に『そうか、OK、分かったよ。じゃあ残りの6ヶ月に全力を尽くそう』と言えたかもしれない。それにそうすることによって彼らは私の最終年のサラリー分を支払わずに済んだのにね。でも、あのようなことが起きた以上、私は彼らにびた一文すらも譲ることはなかったよ」
就任初年度にチャンピオンズリーグ出場権を確保し、2年目にはFA杯を制覇したファン・ハールは、常に最低限の仕事を果たしてきたとも言える。そんな彼にとって、愛弟子に自身の席を譲らなければならなかったことは屈辱的な経験となったにちがいない。