「かつてはメッシのような選手を……」
ジネディーヌ・ジダンやクリスティアーノ・ロナウド、そしてディビッド・ベッカムをも引き抜いてみせた男にも、不可能なミッションが存在する。
レアル・マドリードで会長職に就くフロレンティーノ・ペレス氏は今、“強奪王”というバッジを取り外し、クレバーな選択を続けるリアリストへと変貌。2014年にハメス・ロドリゲスと交わしたビッグディールを最後に、その後は堅実路線の上を歩き続けている。
もちろん、いざ必要とあらば、彼は底無しの金庫を空にしてまでもスーパースターとのサインに奔走するだろう。スペインラジオ局『Cadena SER』のインタビューに応じたペレス会長は、ライバルが保有するアルゼンチンの天才について次のように語った。
「リオネル・メッシ? 仮に私が初めてレアル・マドリードの会長に就任した頃に彼がサッカー界に存在していたら、獲得に動いていただろうね。当時のレアルはまさに現在のメッシのようなトッププレイヤーを探し求めていたんだ。でも今のメッシをバルサから引き抜くことは完全に不可能だよ。彼とバルセロナとの関係性はとても強固なものになっているからね」
時代が時代なら、メッシにも白いシャツが用意され、サンティアゴ・ベルナベウの右サイドを悠々自適に支配していたかもしれない。だが、ペレス氏が札束の散財を控え、未来への先行投資にシフトチェンジして以降、レアルが常勝の日々を謳歌していることもまた紛れのない事実である。現在の彼にとって魅力的な対象は今のメッシではなく、“次のメッシ”なのだ。