浦和の大量失点が止まらない リーグワースト3位の”34失点”まで達したチームが抱える問題

浦和レッズの槙野智章 photo/Getty Images

引いても守れず、カウンターにも対応できず

浦和レッズの失点が止まらない。最後にクリーンシートを達成したのは4月16日のFC東京戦で、6月以降はジュビロ磐田に2-4、サンフレッチェ広島には勝利したものの3失点、川崎フロンターレには1-4で完敗、そして22日の第22節ではセレッソ大阪に2-4で敗れるなど、大量失点を喫することも珍しくなくなってきた。

リーグ戦での失点数は34となり、これより失点が多いのは13位ベガルタ仙台(35失点)、最下位のアルビレックス新潟(39失点)の2チームのみだ。得点数は45点でリーグ首位なのだが、守れないことが原因で勝ち点を落とし続けている。

気にかかるのはプレスの強度だ。22日のセレッソ戦では前半だけで4失点してしまったが、ここでもプレスの甘さが目についた。セレッソの先制点はコーナーキックを浦和の選手が跳ね返したところからスタートしたが、そのボールを拾った山口に対してラファエル・シルバの寄せが遅い。さらに最終ラインがなかなか上がらず、浦和の選手はペナルティエリア内に8人も固まってしまっていた。そこからセレッソにがら空きになったバイタルエリアを使われ、先制点に繋がっている。

3点目も同じだ。クロスのクリアボールを拾った山口に対し、浦和の選手は誰も寄せなかった。山口はバイタルエリアまでボールを運ぶだけの余裕があり、狙いをゆっくり定めてからミドルシュートを打つことができた。これがゴール左に決まり、浦和はあっさり3点目を許してしまっている。このシーンでも浦和は最終ラインに6人も余っていたのだが、後方が余るだけで中盤がガラガラになるという悪癖は変わらず。他の場面でも何度かセレッソに自由にバイタルエリアを使われている。

4点目の場面ではセレッソFW柿谷のクロスボールが逆サイドまで流れ、ルーズになったボールを水沼が追いかけた。浦和はその水沼を宇賀神が見ていたものの、全力で追いかけようとはしなかった。そのため水沼はボールを拾ってから2,3秒ほど次の選択肢を考える時間があり、狙いを定めて左足のクロスボールを選択。これを丸橋に押し込まれてしまった。

先制点のシルバ、4点目の宇賀神もそうだが、今の浦和はプレスをかけたつもりで終わってしまっているところがある。実際は相手選手に十分なプレッシャーがかかっておらず、ゆっくり考える時間を与えてしまっているのだ。4点目の場面では水沼に宇賀神が寄せてはいたものの、水沼はほとんど圧力を感じることなくクロスを蹴ることができてしまっている。

また、槙野や森脇をはじめ日本代表経験者を多く抱える最終ラインの選手たちの対応にも不安が残る。浦和のシステムはスタートこそ3バックだが、変則的だ。攻撃時は両脇のセンターバック2人が大きくサイドに開き、それに合わせてボランチが1枚最終ラインに降りて4バックのような形を取る。センターバックがサイドに開いたと同時に両ウイングバックは非常に高い位置を取り、前線の3枚のアタッカーと合わせて相手陣内に常に5枚の選手を配置できるようにする。これが浦和の強みでもあり、攻撃には厚みがある。

その5枚の攻撃陣をボランチの柏木が操り、柏木の縦パスから一気にスイッチが入る印象だ。その攻撃的なスタイルは見ていて楽しいが、ボールを奪われるとカウンターを浴びてしまいやすい。その際にセンターバックの選手たちの対応がポイントとなるのだが、ここであっさりやられてしまうことがあるのだ。例えば6月の1-2で敗れたサガン鳥栖戦では、1本のロングボールを鳥栖の田川と現役の日本代表DF槙野が競り合ったが、槙野は田川に振り切られてしまった。田川のシュートは外れたものの、1本のパスからGKと1対1のシーンを作られてしまっている。今回のセレッソ戦でも試合開始早々にロングボールの対応を槙野が誤り、セレッソFW杉本に高い位置でキープされるシーンがあった。このあたりは今後の日本代表戦を含め、やや不安が残る。

ここ数試合は先制点を与えてしまう展開も多く、その後守備を固めた相手を強引に崩そうとする攻撃も目立つ。そこからボールを奪われてカウンターに繋げられてしまう悪循環となっており、選手たちもストレスを溜めていることだろう。引いて守った場合でも中盤のプレスの寄せが甘く、カウンターの対応にもセンターバックが苦労しているとなれば、大量失点に繋がっても仕方がない。最終ラインの高さの設定など、見直すべきポイントは多い。

ここから浦和は15位コンサドーレ札幌、16位大宮アルディージャ、14位ヴァンフォーレ甲府と下位に沈む相手との対戦が続くため、ここで何とか守備を立て直したいところ。8月下旬にはACL準々決勝の川崎戦も控えており、川崎には7月のリーグ戦で1-4と手痛くやられている。この試合では川崎の司令塔・中村憲剛に何度も最終ラインのギャップを突かれており、面白いように川崎がチャンスを作っていた。これの繰り返しは何としても避ける必要があり、中村を含めパスワークの良い川崎相手に今の浦和のプレス強度では危険だ。ミハイロ・ペトロビッチ監督の手腕が試されているが、修正することはできるのか。これ以上の大量失点はサポーターも我慢できないだろう。

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