6月13日にロシアW杯アジア最終予選が行なわれ、日本代表は中立地テヘラン(イラン)でイラクと戦って1-1で引き分けました。立ち上がり8分に大迫勇也のゴールで先制する幸先の良いスタートを切りましたが、高地で30度を超える高温のなかでの戦いであり、体力の消耗が激しく、試合中に想定外のケガ人も出ました。日本代表の現状を考えて一言で総括すると、私は「致し方なかった」ドローだったと思います。
そもそも、ここ数年を直視すると、日本代表のアジアでの立ち位置が「絶対」ではなく、日本に限らず、W杯に8大会連続出場している韓国もアジアでの優位性がなくなっています。こうした要素を踏まえると、厳しい環境下でいろいろな問題が発生したなか勝点1を取れたのは、最悪の結果ではないと思います。
ただ、イラク戦が難しい試合になるのはわかっていました。だとしたら、選手たちがベストの力を発揮できるもっと良い準備の方法はなかったのか? もっと良いチーム編成はなかったのか? という疑問が浮かんでくるのも事実です。結論として、私は試合中の対応も含めて、イラク戦の引き分けはピッチ外の判断ミスが生んだものだと考えています。
具体的にはシリアとの強化試合(7日)を国内で開催しましたが、高地高温のなかでのイラク戦を想定すれば、身体を慣らすためにはもっと適した開催地があったはずです。ちなみに、13日にカタールとのアウェイゲームを戦った韓国は、7日にUAEでイラクと強化試合を行なっています。また、国内でプレイする選手たちは4日にJリーグを戦っており、シリア戦の2日前に合流するというハードスケジュールだったのもコンディションに影響を与えているのは間違いありません。
W杯最終予選が佳境を迎えているこのタイミングでこれまで重用していた森重真人を招集せず、三浦弦太、加藤恒平といった新たな選手を呼んだのも疑問が残るところです。実際に起用できるタイミングで招集するべきで、終わってみれば両名にはシリア戦、イラク戦で出番はありませんでした。シリア戦は代表経験の浅い選手にも出場機会があるかと思いましたが、[4-3-3]のフォーメーションでほぼベストと言える布陣でした。GK中村航輔はJリーグで良いパフォーマンスをしていたので、代表でも見てみたかったのですが……。
私個人の印象としては、今回の選手編成はヴァイッド・ハリルホジッチ監督による「いろいろな選手を見ているぞ」というアピールだったのではないかと感じています。とくに加藤恒平に関しては、同じポジションで井手口陽介が招集されていたので出場はないだろうと予想していましたが、案の定ピッチに立つことはありませんでした。