暴言に揺れる森脇コメント全文。「思い当たるフシはないです」

鹿島の小笠原が試合後に検証を求めた森脇の発言&行為とは?

鹿島の小笠原が試合後に検証を求めた森脇の発言&行為とは?

興梠と槙野に囲まれた土居がファウルを犯し、浦和のFKになる。直後に興梠が土居を押し倒して揉め事になり、駆けつけた森脇による「臭い」発言があった Photo/Getty Images

4日に埼玉スタジアムで開催されたJ1(第10節)の首位攻防戦、浦和×鹿島の78分に浦和陣内の奥深くで揉め事が起こった。1点をリードする鹿島の土居聖真がボールをキープしているところに浦和の興梠慎三と槙野智章がアタックにいき、最終的には土居のファウルとなって浦和がFKを得た。

すぐに試合を再開させるべく、興梠は両手を使って槙野もろとも土居を押し倒してマイボールにしようとした。鹿島はこの行為に怒り、興梠に謝ることを求めるとともにレフェリーに警告を出すように要求。現場に両チームから数名が集結し、その輪のなかでより大きな問題が発生した。

試合後の小笠原満男(鹿島)の説明によれば、このときに森脇良太(浦和)がレオ・シルバ(鹿島)に対して「臭いんだ、お前」という言葉を浴びせたと言う。また、森脇がこうした発言をするのは今回がはじめてではなく、過去のチームメイトにも同じような発言をしてきたとも。
「過去の対戦でも同じようなことが繰り返されていて、もうちょっと、自分のなかでは限界。チームメイトとも話をして、繰り返されているので、少し謹慎をするなり、言葉の暴力でもあるので、差別と捉えられてもおかしくないと思う」(小笠原)

さらには、言葉だけではなく鼻をつまむようなゼスチャーがあったとも訴えた。その行為は、「映像で確認できると思う」としてメディアに検証を求めるほどだった。

こうした発言、行為は本当にあったのか? 映像で確認すると、たしかに森脇はなんらかの言葉を発し、右手をサッと顔の前に持ってくる行為をしている。レオ・シルバに向かって──。


一方、試合後の森脇は小笠原の主張を否定している。以下、コメント全文である。

森脇は小笠原の主張を否定。「逆にショックを受けました」

【森脇良太コメント】

ボク自身がいま非常に悲しんでいます。(小笠原の発言を)フロントの方から聞いたのですが、一番ショックを受けた感じです。すべてのことを正直に話しますが、最初に言っておくと、子どもじみている感じの口調も入ってしまうのですが……。

試合中に興梠選手が鹿島の選手といざこざになり、鹿島の選手数名が寄ってたかっていたので、興梠選手のチームメイトなので彼を守ろうという思いで止めに入ろうとしました。そのときに、最初に小笠原選手に「お前だけは入ってくるんじゃねぇ、ボケ」と言われました。それに対して、「うるせぇ、ボケ」という感じの口調で返しました。

そこから鹿島の選手が3人、4人、もちろんそこに小笠原選手も加わってかなり詰め寄っていろいろ言ってきました。そのときにボクの顔にたくさんのツバが散ってきたので、小笠原選手のツバも散ってきたので、本当に子どもみたいなケンカで申し訳なく恥ずかしいのですが、「口が臭いんだよ」という発言をしました。そして、ボクはチームメイトに止められてその場をあとにしたのですが……。

こうしたことを、彼がなにを思って大きな発言に変えたのか、ちょっと本意がわかりません。話を聞いて、事が大きくなっていることに関して非常にショックを受けています。なにに対して、侮辱したと……。たしかに、カッカしていたとはいえ、「口が臭い」と言ったのは正直、反省しないといけない。子どもみたいなケンカだと思って反省していますが、これがボクから言えるすべての事実です。あの場にテープレコーダーがあって、すべてが録音されていたほうがボクはありがたいです。

──レオ・シルバではなく、小笠原とのやりとりだった?

そうですね。小笠原選手とのやりとりで、そこに3人、4人の選手が詰め寄ってきたというのもあるので、そこでなにを勘違いしたのかわからないですが……。毎試合、毎試合、小笠原選手と激しくやり合うのは今年に限らずありますが、そういうところでボクをよく思っていない部分があるのかもしれないですが……。いま話したのがすべての事実です。彼がなにを主張したのか理解できないですが、ボクの主張はそういう部分です。

──試合後にマッチコミッショナーと会話は?

とくにしていません。

──小笠原やレオ・シルバとは?

まったくないです。小笠原選手は途中で交代していたので。レオ・シルバ選手とは試合後に握手をしましたが、すみません本当に、ボク自身が子どもなので……。「口が臭い」とかそういう発言はもしかしたら慎まないといけないのですが、試合中はカッカしているので、そういうやりとりは少なからず1回、2回は……。もちろん、あってはいけないのですが、タマにやってしまうのがボクの反省点で、たとえばその言葉がポルトガル語かなにかで、差別的な発言に近いような、似ているような発音だったのあれば、もっとレオ・シルバ選手がむき出しで怒ってくる。ボクはそう思います。彼の対応を見たら、そういうふうにはボクは思わなかったです。

──毎試合のように激しくやり合うなか、なぜ小笠原が今回怒ったと思う?

小笠原選手がボクのことを嫌いなのではないでしょうか。毎試合バトルしている部分があるので、小笠原選手からしたらボクは後輩なので、「このクソ年下が」と──。もしかしたら、そう思っている部分があるのかもしれません。そこはわからないですが、なぜそこまで言ったのか、ボクにはわからないです。

──(小笠原は)メディアに伝えたかったようだが?

それはボクが聞きたいです。一番ショックを受けています。なぜなのだろうというのが一番です。いま話したことが試合中に起きたすべての事実なので、なにが侮辱的で、なにが気に障ったのか彼に聞いてもらいたいです。

──レオ・シルバだけではなく、過去にカイオなどにもそういう態度を取っていたと訴えていたが?

その事実を聞いただけで、彼の人間性にショックを受けるというか……。なぜ彼が、ボクのことが嫌いだとしても別にいいです。いいですが、なぜそれをみなさんの前で言うのか理解できないです。なんだろうな……。ボクはカッとなって「クソッ」とかそういう変な子どもじみた発言はするかもしれないですが、誰かに対して侮辱するような、事を大きくするような発言はいままで1回もしたことがありません。日本人であろうが、ブラジル人であろうが、どこの国の人であろうが、いっさい言ったことはありません。

──今後、関係修復するチャンスがあればしたい?

いや別に、彼と親しいわけではないし、試合中にカッカするのはサッカーをやっていればあることです。だけど、ピッチを離れればお互いに健闘を讃えあう。ピッチ上では熱くなるかもしれないですが、ピッチを離れれば仲良くできる。ボクはそういう性格だと思っているので、関係を修復するというのはピンとこないです。ちょっとショックですね。カイオ選手になにを言ったのか。レオ・シルバ選手になにを言ったのか。思い当たるフシはないです。逆にショックを受けました。

鹿島は今回の一件を試合の運営責任者であるマッチコミッショナーにすでに報告済み。森脇はレオ・シルバへの侮辱や差別はなかったと説明したが、「口が臭いんだよ」という発言があったことは認めている。この言葉はJリーグとして許容範囲なのか、そして誰に放たれたものなのか。さらには、ゼスチャーによる行為はあったのか。決して有耶無耶にせず、真相を解明しなければならない問題である。

文/飯塚 健司

サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より5大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。

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