【特集/UCLラウンド16プレビュー 6】守備に不安を抱えるシティはストロングポイントで勝負せよ! マンC×モナコ

ディフェンスの整備がいっこうに進まない

ディフェンスの整備がいっこうに進まない

欧州制覇に燃えるペップ photo/Getty Images

マンチェスター・シティがもがき苦しんでいる。プレミアリーグ第21節のエヴァートン戦(アウェイ)では、ジョゼップ・グアルディオラ監督のキャリアワーストとなる0-4の惨敗。後半開始早々に2点目を奪われると戦意を失い、エヴァートンの“なすがまま”といって差し支えなかった。GKクラウディオ・ブラーボは防げたはずのシュートに対応できず、DFジョン・ストーンズは相変わらず弱々しかった。中盤のヤヤ・トゥレとパブロ・サバレタも、どちらがプレッシャーをかけるのか、どちらがカバーにまわるのか、役割分担が終始曖昧だった。

それにしても、シティは守備の整備が遅れている。4+4、あるいは4+5の2ラインを基本としているが、エヴァートン戦で喫した4失点の大半が、パスミスの後のリカバリーを怠ったことに起因していた。たしかに、フェルナンジーニョが出場停止だった。ヴァンサン・コンパニは依然として負傷が癒えないため、最終ラインはリーダー不在だ。しかし、リカバリーは守備の約束事である。約束を破れば痛い目に遭って当然だ。また、チームの骨子が確立できていなかったにもかかわらず、グアルディオラ監督が複数のフォーメーションを試合中にトライしたため、多くの選手が混乱しているようにも感じられる。すべてのサイドバックが、フィリップ・ラームやダビド・アラバ(ともにバイエルン・ミュンヘン)のように、中盤インサイドでビルドアップに貢献できるはずがない。バカリ・サニャとガエル・クリシーは“迷子”になるケースが多く、グアルディオラ監督がめざすスタイルにはマッチしていないことを露呈した。さらにボールを奪われたとき、第一ディフェンダーが素早く寄せるプランは浸透しつつあるが、その後のパスコースを防ぐ手立ては完全とはいえない。寄せきれていなかったり、まったく反応していなかったり……。グアルディオラ監督も歯がゆいことだろう。

自慢の攻撃力で不安定な守備陣をカバーできるか

自慢の攻撃力で不安定な守備陣をカバーできるか

多くの試合を欠場しているDFリーダー、コンパニ photo/Getty Images

攻撃面でも一抹の不安がある。アグエロ、ダビド・シルバ、ケビン・デ・ブライネ、ラヒーム・スターリングなど、高さとは無縁の選手ばかりだ。身長189センチのトゥレもヘディングが好きではない。したがって、ストーンズやアレクサンデル・コラロフといったロングキックに定評のある選手たちもショートパスをつながざるをえず、その挙句に失点したり、ピンチを招いたりするケースが増えている。なかでも、狙われているのがストーンズだ。足もとに自信があるのか、状況判断がまずいのか、すぐに処理すべき場面で必要以上にボールを持ち、自陣の深めでロストする。ASモナコの中盤にはティエムエ・バカヨコ、ジョアン・モウチーニョ、ファビーニョなど、戦術眼に優れた選手が揃っている。シティ守備陣がボールの処理に躊躇した瞬間、パススピードが緩くなったとき、猛然と襲いかかってくるに違いない。ボールホルダーにプレッシャーをかけながら中央のパスコースを消し、サイドに罠を張り巡らせる──というプランを実践する公算が大きい。さしものシティも簡単にはボールを前に運べないだろう。

そして最も危惧すべきは、チーム全体のコンディションが下降期に入っていることだ。幸いにも、チャンピオンズリーグのラウンド16までは一ヵ月ほど時間がある。その間にできるかぎりスタミナの温存、回復を図り、主力の一部はFAカップのラインアップから外すなど、グアルディオラ監督もコンディション調整には細心の注意を払わなくてはならない。とくにデ・ブライネだ。トップ、二列目、中盤インサイドに適応し、正確無比のキックで攻撃を司るこの男こそが、シティのバロメーターだ。相手DFとの駆け引きに優れ、一瞬でフリーになったアグエロに絶妙のフィード。スターリングへのスペースにコントロールされたパス。シルバとの華麗なワンタッチ交換。デ・ブライネによって、多くのチャンスが創出されている。守備の約束事が徹底されていないいまま、シティはデ・ブライネを軸とする自慢の攻撃力を全面に押し出すべきだ。グループステージでは登録外だったトゥレもノックアウトステージは選手リストに加わり、パルメイラスからやって来たガブリエウ・ジェズスも即戦力の呼び声が高い。守備の不安を覆い隠すためにも、みずからのストロングポイントで勝負しなくてはならない。攻撃は最大の防御なり──。

文/粕谷秀樹

サッカージャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

theWORLD182号 2017年1月22日配信の記事より転載

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