2017年の日本代表に期待したい2トップの採用 大迫、浅野、武藤、岡崎らFWが”主役”の時代へ

トップ下にこだわる意味はあるか

近年の日本代表は、ほとんどの試合で1トップを採用してきた。前田遼一、柿谷曜一郎、大迫勇也、岡崎慎司らが務めてきたポジションで、[4-2-3-1]のシステムは日本代表でもお馴染みの形になりつつある。しかし、この形にこだわり続ける必要があるだろうか。

これまでの日本は中盤に実力者が集中し、彼らを最大限活かすために前線を1トップにしてきた。前田、柿谷らにしても攻撃陣の主役というイメージではなく、あくまで本田圭佑や香川真司ら中盤の選手の実力を最大限引き出すのが狙いだった。それこそがアルベルト・ザッケローニ時代から続く日本のスタイルだが、今では状況が変わりつつある。

昨季はレスター・シティで岡崎がプレミアリーグ制覇を経験したが、レスターはほとんどの試合で2トップを採用している。ジェイミー・バーディと岡崎のコンビはイングランドでも高く評価され、岡崎も攻守に奮闘してチームに大きく貢献してきた。今季はポジションが何度か変わっているが、ケルンに所属する大迫もアントニー・モデストと強力な2トップを形成している。さらにユヌス・マリがヴォルフスブルクに移籍したマインツでも、今後はジョン・コルドバと武藤嘉紀の2トップが採用されるとの見方もある。他にもシュツットガルトで奮闘している浅野拓磨、アウグスブルクに移籍した宇佐美貴史もガンバ大阪時代にはパトリックと2トップを形成していた。12月にレアル・マドリードを苦しめた鹿島アント ラーズも2トップを採用しており、金崎夢生の頑張りは印象的だった。これだけ最前線でプレイできる選手が揃っているのであれば、日本代表が1トップにこだわる必要もないように感じられる。
しかも現在はセビージャの清武弘嗣、ドルトムントの香川真司とトップ下を務める選手が所属クラブで絶対的な地位を築けていない。最近は清武が日本代表のトップ下を務めてきたが、今の状況が続くのであれば彼らにトップ下のポジションを作る意味はない。大迫、浅野、武藤、岡崎、宇佐美など、2トップにした方が前線のバリエーションは増えるはずだ。

さらに現在はヘルタ・ベルリンでプレイするサイドハーフの原口元気が好調で、日本代表の左サイドは原口が確保している。2018ワールドカップアジア最終予選でも4試合連続得点を決めるなど、原口を外す案は存在しない。日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は宇佐美や浅野をサイドで起用してきたが、彼らをサイドのポジションで争わせるのはもったいないようにも感じられる。右サイドには日本を引っ張ってきた本田圭佑もいて、このあたりの調整は難しい。

宇佐美もサイドで存在感を発揮しようと守備にも奮闘してきたが、それでも運動量には不安がある。アップダウンの激しいサイドより、ゴールに近い中央のエリアで起用した方が攻撃性を活かしやすいのではないだろうか。しかし現状の1トップでは宇佐美を配置するのは難しく、どうしてもサイドで起用することになってしまう。昨年のリオデジャネイロ五輪で得点感覚を見せつけた浅野も、中央で起用した方が良いだろう。クロスなどの正確性がそれほど高くないため、サイドでは出来ることが限られてしまう。

本田、香川ら中盤が主役だった時代とは異なり、今の日本では最前線で勝負できる人材が増えている。彼らを活かすためにも2トップは面白いオプションとな るはずで、戦い方にも幅が生まれるのではないだろうか。

記事一覧(新着順)

電子マガジン「ザ・ワールド」No.291 究極・三つ巴戦線

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:コラム

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ