「名将モウリーニョ」はどこへ? 開始直後の失点、逃げ切り失敗に見える”勝負弱さ”

モチベーターとして機能しているか

モチベーターとして機能しているか

マンUを率いるモウリーニョ photo/Getty Images

マンチェスター・ユナイテッドを指揮するジョゼ・モウリーニョは、世界を代表する名将だ。指導を受けた世界のトッププレイヤーたちもモウリーニョの手腕は高く評価しており、その圧倒的なカリスマ性でビッグクラブをまとめ上げてきた。しかし、昨季率いたチェルシーと同様にマンUでも苦しい戦いが続いている。マンUは今夏にズラタン・イブラヒモビッチやポール・ポグバ、ヘンリク・ムヒタリアンと即戦力を獲得したものの、リーグ戦では結果が出ていない。

気になるのは、モウリーニョのチームらしからぬ集中力の欠如だ。モウ リーニョのチームといえば手堅く守るとのイメージがあり、時にはゴール前にバスを停めるなど徹底した戦い方で勝利を掴んできた。それが今のマンUではらしくない時間帯に失点するケースが増えているのだ。

最も目立つのは終盤にリードを守り切れないパターンだ。第7節のストーク・シティ戦は後半24分に先制しながら、13分後に失点して1-1の引き分け。12節のアーセナル戦では後半ロスタイムにオリヴィエ・ジルーにヘディング弾を決められて1-1の引き分け。前節のエヴァートン戦も終盤にマルアン・フェライニがPKを与えて1-1で終えている。これまでのモウリーニョのチームはリードを巧みに守ってきたのだが、集中力が欠けたような守備から終盤に失点してしまうケースが非常に多い。
また、試合開始直後の失点も多い。0-4で敗れたチェルシー戦では前半1分にペドロ・ロドリゲスにゴールを許し、最悪の形で試合をスタートさせてしまっている。さらに11月のヨーロッパリーグ・フェネルバフチェ戦は前半2分にムサ・ソウ、13節のウェストハム戦では前半2分にディアフラ・サコと、試合開始から間もない時間帯での失点も目立つ。手堅く試合に入るはずのモウリーニョがこうした早い時間帯に先制点を与えてしまうのは非常に珍しいケースだ。

試合の入り方、さらには終わらせ方まで何かが狂ってしまっている今のマンUは、非常にもったいない形で勝ち点を落としてしまっている。選手層や戦術に問題があるというより、集中力などのメンタル部分に問題があるよう に感じられる試合が多い。そして昨季のチェルシーと同じく、モウリーニョはこうした問題を改善することができていない。

モウリーニョは徹底して勝利を狙う戦術もそうだが、モチベーターとして選手の気持ちを最大限まで高めることを得意としてきた指揮官だ。しかし開始早々の失点には気の緩みも関係しているはずで、それが何度も起こるのはモウリーニョのチームらしくない。選手のモチベーション、集中力を管理するという点において、モウリーニョもミスを犯しているのではないか。同じミスを短期間に何度もしてしまうのは名将らしくないが、モチベーターとしてモウリーニョはしっかり機能しているのだろうか。

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