【特集/プレミア6強戦国時代1】プレミアは「ビッグ6」の時代へ! 本当の死闘はここから始まる

「ビッグ4」を経て激動の時代を迎えたプレミアリーグ

「ビッグ4」を経て激動の時代を迎えたプレミアリーグ

グアルディオラの采配は、プレミアの見どころのひとつ photo/Getty Images

1888-89シーズンにはじまったイングランド国内リーグであるフットボールリーグが改変され、現在のプレミアリーグとなったのが1992-93のこと。初年度の王者はマンチェスター・ユナイテッドで、以来同クラブは13回優勝している。その他チェルシー4回、アーセナル3回、マンチェスター・シティが2回、ブラックバーン、レスターが1回となっており、プレミアリーグとなってからは6クラブしか優勝していない。

そもそもプレミアリーグは世界各国から注目される人気のあるリーグで、クラブの資金力に差がある。ブラックバーンのようにときおり覚醒する中堅クラブもあるが、優勝争いの中心には常にサー・アレックス・ファーガソンが率いるマンUがいた。そして、そのまわりにはアーセナル、リヴァプールといったフットボールリーグ時代から活躍する歴史と伝統があるやはりビッグクラブたちが存在した。

さらには、90年代に入って資金力を高めたチェルシーも好成績を収めるようになっていった。優良な実業家が経営者に加わったことで莫大な資金を得たチェルシーはルート・フリット、ジャンフランコ・ゾラ、ジャンルカ・ヴィアッリなどを次々に獲得。ホームスタジアムのスタンフォード・ブリッジを快適な空間へと改築するとともに、多国籍軍団と呼ばれるチームへと発展していった。ただ、その裏では大規模経営のツケで多額の負債を抱えており、台所状態は火の車だった。

この窮地を救ったのが2003-04にオーナーとなったロシア人実業家のロマン・アブラモビッチで、負債を返済するとともに積極的なチーム強化にも着手。ジョゼ・モウリーニョの招聘に成功し、直後にチェルシーは黄金期を迎えて04-05、05-06を連覇している。

マンU、アーセナル、リヴァプール、チェルシー。プレミアリーグはこの「ビッグ4」の時代がしばらく続いたが、この流れを断ち切って11-12に優勝したのが中東マネーを得て徐々にクラブ規模を拡大していったマンCだった。

08-09にアブダビの投資グループがオーナーとなったマンCは、カルロス・テベス、ヤヤ・トゥレ、ダビド・シルバ、セルヒオ・アグエロなどを次々に獲得し、戦力を整えていった。10-11にはプレミアリーグで3位となり、FA杯では優勝している。11-12の優勝は最終節のロスタイムにアグエロが奪ったゴールで決定する劇的なものだったが、頂点に立つ実力を持つのは誰もが認めるところで決して意外な優勝ではなかった。

そして、ここ数シーズンで急速に力をつけてきたのがトッテナム・ホットスパーだ。2013年の夏にガレス・ベイルをレアル・マドリードへ売却した資金を補強に充て、クリスティアン・エリクセンやエリック・ラメラなどの若手アタッカーを獲得。翌シーズンにはサウサンプトンで好成績を収めていた指揮官マウリシオ・ポチェッティーノを招聘する。若く、走力があり、闘志に満ちあふれたスパーズは圧巻の運動量でプレミアを席巻することになり、対戦相手がもっとも嫌がるチームへと変貌を遂げていった。

「ビッグ6」が揃い踏み 新たな戦国時代が幕を開ける

「ビッグ6」が揃い踏み 新たな戦国時代が幕を開ける

「ヘヴィメタル」と形容されるクロップの激しいプレッシングサッカーは、ファンからも上々の評価 photo/Getty Images

昨季はリヴァプール、マンU、チェルシーの低迷により、伏兵のレスターが優勝をさらうという非常に混沌としたシーズンになった。しかし、今季はラニエリ監督自ら「これがノーマルなレスター」と認めるとおり、昨季の魔法はすでに解けてしまったかのようだ。つまり、今季こそが本当の「ビッグ6」時代の幕開けなのだ。

長く優勝から遠ざかっているリヴァプールは昨季途中から指揮を執るユルゲン・クロップのもと、真摯に再建を進めている。得意のプレッシング戦術は浸透し、カウンターの迫力はプレミア随一だ。マンUはプレミアリーグを知り尽くしたモウリーニョを招聘し、潤沢な資金を背景にズラタン・イブラヒモビッチ、ポール・ポグバなど圧倒的な力を持つ選手を補強している。チェルシーは情熱家であり戦術家でもあるアントニオ・コンテの指導で守備の堅さを取り戻しつつあり、マンCは言わずと知れたジョゼップ・グアルディオラのもと、すでに魅力的なサッカーを披露している。

また、ヴェンゲルに20年率いられているアーセナルは、アレクシス・サンチェスを1トップに置く戦術が奏功。開幕戦でリヴァプールに敗れスタートに失敗したものの、第3節からプレミア6連勝を達成した。トッテナムにはデル・アリ、ハリー・ケイン、ダニー・ローズ、カイル・ウォーカーなどイングランド代表が多く、良質な選手がズラッと揃っている。ポチェッティーノ流のインテンシティの高いサッカーは完成の域に達しつつあり、今季はいまだリーグで無敗だ。第7節では、連勝を続けていたペップのマンCに完勝し、初めて土をつけた。ノースロンドン勢の好調さは、現時点ではマンチェスター勢をはっきりと上回っている。

これほど予想の難しいトップリーグがあるだろうか。今季はリヴァプール、マンU、チェルシー、マンC、アーセナル、トッテナムによる優勝争いで、どこが頂点に立ってもおかしくない。序盤から直接対決も多く、すでに見逃せない試合が続いている。

「ビッグ4」の時代を経て、現在のプレミアリーグはいずれ劣らぬ「ビッグ6」がしのぎを削る真の戦国時代へと突入したのだ。

文/飯塚 健司

theWORLD 2016年11月号の記事より転載

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