ヴェンゲルの改革は間違っていたのか ”激しさから美しさ”へ舵を切った末の無冠時代

パス本数が増えると同時にタックルが減少

パス本数が増えると同時にタックルが減少

アーセナル指揮官のヴェンゲル photo/Getty Images

アーセナル指揮官アーセン・ヴェンゲルがおこなってきた改革は間違った方向に進んでしまったのだろうか。ヴェンゲルはアーセナルで数多くの成功を収めたが、リーグタイトルに限れば2003-04シーズン以降優勝は1度もない。近年はヴェンゲルの解任を求めるサポーターも目立っている。

そこで英『sky SPORTS』はヴェンゲルの改革が正しい方向に進んできたのかを評価した。同メディアが注目したのは中盤だ。アーセナルが最後にリーグタイトルを獲得した時には、パトリック・ヴィエラ、エマニュエル・プティのような大型のMFが揃っていた。彼らは運動能力に優れ、ファイトできる選手たちだった。

アーセナルがいかに激しいフットボールを展開してきたかは、ヴェンゲルが指揮官に就任した1996年から最後にリーグタイトルを獲得した2004年までを見れば分かる。この8年間でアーセナルは実に35枚ものレッドカードを受けており、22枚のチェルシー、リヴァプール、18枚のマンチェスター・ユナイテッドと、ビッグ4の中で最も多い。
しかしヴェンゲルは激しさから美しさを追求する方向へ舵を切った。2006-07シーズンのデータを見ると、アーセナルのパス本数は2万本以下だ。しかしそれがどんどん増え、今では2万本を軽く超えるだけのパスを繋ぐテクニック軍団となった。

一方で、タックル数は右肩下がりに減少。セスク・ファブレガスのような美しいプレイをする選手が増えたのは良いが、ハードな仕事をこなす選手が減ってしまった。これには解説を務めるジェイミー・キャラガー氏もなぜヴィエラやプティのような路線から切り替えたのか分からないとコメントしている。

そこで同メディアが注目しているのが今夏加入したグラニト・シャカだ。シャカはヴェンゲルがプティに似ていると称賛するMFで、中盤でハードな仕事をこなすこともできる。同メディアはシャカがヴェンゲルの改革が正しかったのかどうかを証明する存在になるはずと見ており、中盤に激しさがプラスされることを歓迎している。

今でもアーセナルの中盤が美しいのは変わらないが、シャカの持つハードな部分はアーセナルを変えるのか。プティを思わせるレフティーのMFに注目が集まっている。

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