ポール・ポグバ、アントワーヌ・グリーズマン、ディミトリ・パイェらの活躍もあってEURO2016準決勝まで進んできたフランス代表は、2014ワールドカップ王者のドイツ代表にも負けないほどの陣容が揃っている。守備面にはやや不安が残るものの、キングスレイ・コマンやアントニー・マルシアルらも含めると攻撃陣はなかなかの破壊力だ。
では、10年前の代表チームと比較してみるとどうだろう。10年前の2006年といえば、ワールドカップ決勝でジネディーヌ・ジダンがイタリア代表DFマルコ・マテラッツィに頭突きを喰らわしたことも印象的で、準優勝を収めた。当時のチームにもジダンはもちろんティエリ・アンリなど世界を代表するタレントが揃っていたが、当時のチームと今のチームではどちらが豪華なのだろうか。英『Squawka』が比較した。
まずGKだが、近年のフランスはウーゴ・ロリスが務めている。マヌエル・ノイアーやジャンルイジ・ブッフォンほどではないが、ロリスも安定感のある優秀なGKだ。対して2006年は34歳のファビアン・バルデズが務めていた。バルデズもフランスを代表するGKだが、同メディアはミスの少なさではロリスが上回っていると評価しており、派手さはないものの与えられた仕事をきっちりこなしている点などからロリスの方が上という評価を下している。
DFは、2006年のチームはサイドバックにウィリー・サニョルとエリック・アビダル、センターバックにはリリアン・テュラムとウィリアム・ギャラスがいた。その点今大会のフランスはラファエル・ヴァランを欠いているとはいえ、安定感がない。当時のフランスは決勝トーナメントでブラジルとポルトガルを無失点に抑えており、スペイン相手にもPKの1点しか与えなかった。このことから同メディアは守備面では2006年の方が上と評価した。
中盤は実に豪華だ。当時のフランスにはパトリック・ヴィエラ、クロード・マケレレ、そしてジネディーヌ・ジダンがいた。対する現在のフランスにはマケレレ2世の異名も取るエンゴロ・カンテ、カンテと同じく豊富なスタミナを持つブレーズ・マテュイディ、そしてジダン2世とも言われるポグバがいる。10年前のチームと比較してもこの3人はタイプの被る部分があるが、同メディアはまだまだ実力には差があると感じている。
ポグバはまだジダンの領域には達しておらず、今大会も少々波がある。カンテとマテュイディも素晴らしい仕事をしているが、当時のヴィエラとマケレレのコンビは抜群のコンビネーションを誇っており、ボランチといえばあの2人が思いつくような時代だった。まだカンテもマテュイディもそのレベルには達していないため、中盤勝負も当時のメンバーの方が上と評価されている。
では、最後に前線はどうか。10年前のチームはサイドにフランク・リベリ、フローラン・マルーダ、中央にティエリ・アンリが入っていた。一方で今大会はアントワーヌ・グリーズマン、ディミトリ・パイェ、オリヴィエ・ジルーと絶好調の3枚が揃っている。現在のフランスは守備面で安定感を欠いている代わりに、攻撃ではどのチームからでも得点を奪える破壊力を秘めている。当時のフランスが守備を基本としたバランス重視のチームだったのに対し、今回のチームは明らかに攻撃型だ。同メディアはレイモン・ドメネク率いる当時のチームが連動性を欠いていたと判断し、今のチームの方が火力は上と評価している。
バランスの取れていた当時のチームに対し、今回のチームは攻撃力で相手をねじ伏せるタイプのチームだ。やり方は違うものの、近年国際大会で結果を出せなかったフランスは着々と実力をつけている。それぞれ好みの分かれるポイントだが、今のチームは10年前のワールドカップ準優勝を達成したチームに負けず劣らずの強さを備えているのではないだろうか。