[予想外の4大リーグ総括! 3]バルサとて盤石ではない! 真の3強時代が到来したリーガ

完璧ではないバルセロナ 3連敗でリーガは大混戦に

1位~3位をバルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリードで占めるのは、2012-13シーズンから4年連続で同じとなっている。3強の順位に変化があったのはアトレティコが優勝した13-14シーズンだけで、それ以外はいずれも1位バルサ、2位レアル、3位アトレティコとなっている。

ただ、3冠を達成したバルサの強さばかりが目立った昨シーズンとは打って変わり、今シーズンは最終節で優勝が決定するなど最後の最後まで順位が確定しなかった。2年前にアトレティコが優勝したときは、ヘラルド・マルティーノに率いられたバルサが失速傾向にあり、UCL制覇にターゲットを絞っていたレアルもリーガでは終盤戦になって粘り強さがなくなっていた。いわば、2強の隙をついてのアトレティコの戴冠だった。無論、選手とともに闘う熱血漢、ディエゴ・シメオネの手腕なくしてこの優勝はなく、決してまぐれや奇跡によるものではなかったことはここ数年の成績が証明している。

今シーズンの混戦を招いたのは、終盤戦を迎えたバルサの急ブレーキに原因があった。第19節グラナダ戦から第29節ヘタフェ戦までクラブタイ記録となる12連勝を達成したときは、残り試合は優雅なクルーズになるかと考えられた(延期分の第16節S・ヒホン戦を含む)。第30節ビジャレアル戦に2-2で引き分けて連勝こそ止まったが、この時点で2位アトレティコとは勝点9差であり、8試合残っていたがバルサのチーム力を考えれば“何か”が起こるとは考えにくかった。

ところが、第31節レアルとのクラシコに1-2で競り負けると、続くレアル・ソシエダ、バレンシアにも敗れて3連敗となった。2位アトレティコに勝点76で並ばれ、3位レアルとも勝点1差となり、それまでの無風状態から風雲急を告げる展開となった。

バルサともなると3連敗すると一大事で、各メディアがその要因をさまざまに分析した。指揮官であるルイス・エンリケが選手をある程度固定していたため、過密日程によるコンディション不良に陥った。ネイマールとリオネル・メッシの脱税疑惑が選手たちの集中力を低下させている。MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)の存在が大きく、他の攻撃スタイルがないなど……。

地力がないチームだとこのままズルズルいく可能性もあるが、そこは経験豊富な世界トップレベルの選手が揃うバルサである。「チャンスは作れているので、前向きに考えている」と語っていたのはセルヒオ・ブスケッツで、その言葉どおりバレンシアに敗れて3連敗となった3日後に行なわれた第34節デポルティーボ戦に8-0で大勝し、あっさりとさまざまな懸念を払拭。このデポルティーボ戦から5連勝でシーズンを締めくくり、結局はリーガ2連覇を達成した。

とはいえ、3連敗を喫したのは02-03シーズン以来のことで、バルサが終盤に見せた失速は近年にないものだった。コンディション不良、メンタルの乱れ、MSN偏重の攻撃スタイル……。その要因はさまざまで、複合的な理由が重なった結果の連敗だったと考えられる。当たり前だが、バルサとて完璧ではない。そうした事実がわかったシーズンだった。

優勝を逃したマドリードの両雄がUCL決勝を戦うという事実

シメオネが指揮するアトレティコは、第37節レバンテとのアウェイゲームに1-2で敗れたのが痛く、あと一歩のところで逆転優勝を逃している。バルサ、レアルと比べると世界的なビッグネームが揃っているわけではないが、シメオネによって「勝ち」にこだわるチームに仕上がっており、どんな対戦相手にも対応できる柔軟性がある。とくに、守備の固さに定評があり、シーズンをわずか18失点で乗り切ってみせた。もちろん、これはリーガでもっとも少ない失点数となっている。

一方で、得点数はバルサ、レアルがともに100得点以上を奪ったのに対して、63得点と大きく引き離されている。チーム最多がアントワーヌ・グリーズマンの22得点で、次がフェルナンド・トーレスの11得点。その他に2桁得点している選手はいない。MSNがいるバルサ、クリスティアーノ・ロナウド、カリム・ベンゼマ、ギャレス・ベイルがいるレアルとは対照的で、いかに異なる特徴を持つかがわかる。

爆発的な得点力ではなく、粘り強い守備をベースに勝点をコツコツと積み上げ、最後までバルサに食らいついた。1-0での勝利が10試合、無失点での勝利が22試合というのは、もちろん今シーズンのリーガで最多だ。12年1月に監督となったシメオネのもと、アトレティコは自分たちにマッチしたスタイルのサッカーに磨きをかけてきた。近年のアトレティコは2強に追随するクラブではなく、3強を形成するクラブとなっている。
いまひとつチームの士気を高めることができなかったラファエル・ベニテスを解任し、16年1月にジネディーヌ・ジダンを招聘したレアルは、リーガ終盤戦を盛り上げる一翼を担った。第26節アトレティコとのダービーに0-1で敗れた時点では首位バルサと勝点12差あったが、ジダンの指向するスタイルが徐々にチームへと浸透し、本調子を取り戻した。

もともと良質な選手が揃っており、ジダンによって各選手のチーム内での役割が明確になると、自然と勝利が入り込んできた。第31節バルサとのクラシコに敵地で2-1で勝利するなど連戦連勝し、12連勝でシーズン終盤を駆け抜けている。最終的にバルサとはわずかに勝点1差であり、ここ数年でもっとも優勝に近付いたシーズンだった。

3強による終盤の優勝争いは、一縷の隙も許されないチキンレースとなった。最後にはバルサが逃げきり、レアルとアトレティコは優勝に届かなかった。しかし、届かなかったマドリードの両雄はUCL決勝に勝ち上がっている。リーガで優勝するのがどれだけ困難なことか、この事実が物語っている。

文/飯塚 健司

theWORLD174号 2016年5月23日配信の記事より転載

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