今シーズン、プレミアリーグの王者となったのは下馬評を大きく覆したレスター・シティだった。シーズンを通して黒星を喫したのはわずか3度と、優勝に値する成績を残したのは事実だが、ビッグクラブが揃いも揃って躓いたこともレスターの奇跡を後押しした。プレミアの4強には一体何が足りなかったのだろうか。
チェルシーの失墜は、現場と上層部が意思の疎通を図れなかったからだ。昨シーズンの優勝で一種の達成感に浸っていた数人の主力は、オフの間に弛緩していた。ジエゴ・コスタは5キロ・オーバーでキャンプに入ったことを認め、シーズン開幕が近づいてもダラダラしている選手たちに、多くの番記者が「闘争心の欠如」を感じていたという。だからこそ、経験豊富なジョゼ・モウリーニョ監督(当時)はサイクルのピリオドを痛感。昨シーズン終了直後に、獲得希望リストを強化担当スタッフに提出している。
ところが、モウリーニョのリクエストは通らなかった。新戦力はチェルシーのレベルにほど遠く、しかも見たことのない選手までいる。指揮官は苛立ち言葉を荒げ、治療法をめぐってエヴァ・カルネイロ(前チームドクター/15年10月に退団)に訴えられたほどだ。もし、上層部がほんの少しでもモウリーニョのリクエストに応え、主力を脅かせる選手を獲得していれば競争の原理が働き、チェルシーは上昇気流をつかめたのではないだろうか。
独特の緊張感を強いるモウリーニョのマネジメントに問題はあったものの、強化担当の怠慢も責められてしかるべきだ。基本的には穏やかなチームだが、優勝を心から欲するサポーターとの間には、微妙な距離感が生まれつつある。