イタリア勢にとって今季のチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグは目を背けたくなる結果ばかりだ。チャンピオンズリーグでは昨季準優勝のユヴェントスが1回戦で敗れ、ヨーロッパリーグでも今季好調のナポリが早々に敗退。両大会ともベスト8にはイタリア勢が1チームも残っていない結果となった。しかし、今季はさらにイタリア勢にとって嫌なことがあった。
それは過去にセリエAから出て行った選手が軒並み活躍していることだ。ヨーロッパリーグでは過去にインテルへ在籍していたリヴァプールMFフィリぺ・コウチーニョが異次元のプレイを見せており、マンチェスター・ユナイテッド戦では左サイドをぶち抜いてゴールを決めている。インテルではエゴイスティックなプレイが目立つと批判を受けていたが、リヴァプールでは世界レベルのアタッカーへと変貌を遂げた。
さらにミランからセビージャへ移籍したDFアディル・ラミが先日のバーゼル戦で貴重な先制点を挙げ、チームのベスト8入りに貢献。今季のミランが守備陣に問題を抱えていることを考えると、ラミの流失は痛かった。
今季ドルトムントでゴールを量産しているFWピエール・エメリク・オバメヤンも、過去にミランのユースチームに在籍していた選手だ。ミランはこれほどの逸材を1度も使うことなくサンテティエンヌへ放出。今のミランの攻撃陣を見ればオバメヤンの流失がどれだけ痛かったか分かるというものだ。
さらに極め付けはチャンピオンズリーグの舞台で古巣ユヴェントス相手にゴールを決めたバイエルンFWキングスレイ・コマンだ。ユヴェントスでは出場機会が少なかったコマンもバイエルンでは貴重なサイドアタッカーとして出場機会を増やしており、ユヴェントスにとっては何とも歯がゆい結果となってしまった。
当時に比べるとセリエAの選手層や資金力は明らかに落ちているが、凋落の理由はそれだけではない。人材の育成に失敗し、有望な選手を国外へ出してしまっていることも結果が出ない原因の1つだろう。