[頭角を現すU-23プレイヤー 2]神童、重戦車、韋駄天…… リーガで躍動する“ワンダーボーイ”たち

EURO、リオの注目株続々 スペインを熱狂させる若い力

EURO、リオの注目株続々 スペインを熱狂させる若い力

ディナモ・ザグレブユースが生んだ若き天才ハリロヴィッチ photo/Getty Images

リーガ・エスパニョーラにおける“U-23プレイヤー”は、実に豪華なメンバーが揃う。ヤン・オブラク(23歳/アトレティコ・マドリード)、ホセ・ヒメネス(21歳/アトレティコ・マドリード)、アイメリック・ラポルト(21歳/アスレティック・ビルバオ)、ラファエル・ヴァラン(22歳/レアル・マドリード)、パコ・アルカセル(22歳/バレンシア)など、すでに欧州カップ戦や代表戦でも十分な実績を残している選手たちが並ぶ。そんな彼らに続けと、今季のリーガでは新たな才能が輝きを放っている。

風貌はルカ・モドリッチ似で、プレイスタイルはリオネル・メッシを彷彿とさせる――。そんな贅沢な評判を得ているのが、スポルティング・ヒホンでプレイするアレン・ハリロヴィッチだ。最大の魅力は、細かいボールタッチと天性の瞬発力で軽やかに相手を抜き去るドリブル力。左利きで、右サイドから中央にカットインしながらゴールへと向かっていく姿は、まさにデビュー当時のメッシを想起させる。母国クロアチアのクラブとプロ契約を結んだのは、16歳のとき。それから1年以内にA代表デビューとバルセロナへの移籍を実現して、「神童」と呼ばれた。

しかしバルセロナでは“MSN”の世界最強トリオが君臨するため、入団後はBチームが主戦場。さらに今季はそのBチームが3部に降格したことで国外移籍の噂も浮上したが、ヒホンへのレンタル移籍を選択したことが功を奏している。リーガ1部初挑戦ながら、第24節までに22試合に出場(うち先発は17 試合)して、3ゴール・4アシストをマーク。チームの1部残留のキーマンとなるのはもちろんのこと、EURO2016のグループステージでスペインと同組に入ったクロアチアの“切り札”としても期待されている。

カラスコをベルギー代表のレギュラーに推す声もある photo/Getty Images

ここまで21試合に出場して3ゴール・0アシストと、ハリロヴィッチほどの数字は残していない。しかし、周囲に与えたインパクトで今季の若手No.1と言えるのが、アトレティコのヤニック・カラスコだ。すでに昨季のチャンピオンズリーグでモナコのベスト8進出に貢献するなど実績を残していたが、昨夏のアトレティコ移籍を機にさらに株を上げている。特に第22節バルセロナ戦では、チームが2人の退場者を出して圧倒的不利な状況のなか、持ち味の重戦車のようなドリブル突破で相手のゴール前に迫り、あわやという場面を何度も作った。試合後に『マルカ』紙がつけた採点は、バルセロナGKのクラウディオ・ブラボと並ぶ最高点の「7」。昨夏、大型補強の目玉と期待されながらわずか半年で退団を強いられたジャクソン・マルティネスとは対照的に、インテンシティーの高い“シメオネ・スタイル”にもスムーズに順応し、一時首位に立ったアトレティコで早くも不可欠な存在となっている。その評判は母国ベルギーにも届いており、夏のEURO制覇に向けて、調子の上がらないエデン・アザールではなくカラスコをレギュラーに推す声もあるくらいだ。

カラスコのチームメイトであるアンヘル・コレアも、リーガ初挑戦で躍動する選手の1人だろう。実は2年前の5月に母国アルゼンチンのサン・ロレンソからアトレティコへの入団が決まったが、メディカルチェックで心臓疾患が見つかったために、半年間の治療を経てスペイン上陸を果たしたという逸話を持つ。しかし今季開幕戦でリーガデビューを果たすと、それから1カ月あまりの間にA代表とUCLの舞台でも初出場を果たし、なおかつすべてのコンペティションで初ゴールをマークして、たちまち「ワンダーボーイ」と呼ばれた。彼もまたドリブラーだが、巧みなボールさばきと相手DFの裏をかくプレイが真骨頂。昨年行われたU-20南米選手権では、主将としてチームを優勝に導き、見事リオデジャネイロ五輪の出場権を獲得すると、大会のMVPにも輝いた。本大会の主役候補の1人であり、先日リオ行きを決めた日本にとっても、要注目の選手だ。

スペインの将来を担う韋駄天 EUROへの最終兵器との噂も

スペインの将来を担う韋駄天 EUROへの最終兵器との噂も

ビルバオ初の黒人選手となったイニャキ・ウィリアムズ photo/Getty Images

ここまでの3人同様、ドリブラーとしての資質を持っているものの、ピッチ上で一際異彩を放っているのが、アスレティック・ビルバオの“韋駄天ストライカー”イニャキ・ウィリアムスである。というのも、120年近い歴史を持つビルバオで、初めてトップチームでプレイした黒人選手なのだ。リベリア人の母親とガーナ人の父親の血を受け継いでいるだけあって、身体能力は群を抜いて高く、昨年5月には35.71キロのドリブルスピードを記録して“リーガ最速男”の称号を授かった。ただし、ビルバオで生まれ、スペイン屈指の下部組織として名高いレサマで育ってきたこともあり、器用さも持ち合わせている。特にゴール前でのボール処理はお手の物で、相手DFにとっては非常にマークしづらい。 この稀有なタレントをビッグクラブが放っておくはずもなく、今冬にはマンチェスター・シティやリヴァプール、トッテナムなどプレミア勢が獲得に興味を示し、引き抜きを恐れたビルバオが慌てて契約更改したほどだった。まだA代表への招集歴はないものの、ウインガーとセンターフォワードの両刀使いができるため、巷ではビセンテ・デル・ボスケ監督がEURO本大会への“最終兵器”としてフランスに連れていくとの噂も出ている。果たして、残り数カ月でどこまで飛躍を遂げるのか。いずれにせよ、スペインの将来を担う選手であるのは間違いなく、クラブレベルでのステップアップも時間の問題と言えるだろう。

文/北川 紳也

theWORLD171号 2016年2月23日配信の記事より転載

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