[UCL/UEL欧州戦力図 5]ビッグカード目白押し! 今季はUELが白熱必至

香川ドルトムントは強豪ポルトと激突

2015-16シーズンのUEFAヨーロッパリーグ(以下UEL)は、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)のグループステージで敗退したチームを加えて決勝トーナメントに臨む32チームが出揃った。UCLで勝ち残っていても不思議ではない“ビッグクラブ”と各国国内リーグで上位に名を連ねるクラブが集結する今大会は、UCLに引けをとらないハイレベルな戦いが期待されている。決勝トーナメント1回戦の組み合わせは昨年12月に行われ、期待どおり、注目クラブ同士の対戦が実現した。

今季前半戦のブンデスリーガでベストイレブンに選出されるなど本調子を取り戻した香川真司を擁するドルトムントは、ポルトガルの名門ポルトと対戦。予選3回戦から勝ち上がったドルトムントは、グループステージでロシアのクラスノダールに首位の座を譲ったものの、国内リーグでは好調を維持。昨季の低調ぶりを完全に払拭し、かつての輝きを取り戻しつつある。香川は得点源のガボン代表FWピエール・エメリク・オバメヤンやドイツ代表FWマルコ・ロイスらとともに、不動の攻撃的MFとしてチームを牽引。持ち味であるダイナミックなパスワークの中核を担い、多くの決定機を演出するなど能力の高さを示している。

一方のポルトは、将来を嘱望されるヤングタレントを多く抱えるチームだ。下部組織出身のMFルベン・ネベスは18歳、得点源のFWバンサン・アブバカルとFWヘスス・コロナはともに23歳と若く、いずれも各国ビッグクラブが注目するタレント。不動のレギュラーとして活躍する25歳のアルジェリア代表MFヤシン・ブライミを含めて、個の能力は極めて高い。もちろん、今季から守護神の座に君臨するGKイケル・カシージャスにも注目が集まる。

リーグ戦好調のイタリア勢も好カード

第20節終了時点でセリエAの首位に君臨するナポリは、リーガ・エスパニョーラで4位につけるビジャレアルと対戦。好調のナポリを牽引するのは、昨季から約4キロのダイエットによって“キレ”を取り戻したFWゴンサロ・イグアインだ。アルゼンチン代表ストライカーは、リーグ戦の20試合で20得点を記録。今季のUELではF Wドリエス・メルテンスとF Wホセ・カジェホンがそれぞれ5得点、さらにMFマノロ・ガッビアディーニが4得点と奮起しているが、このチームの絶対的エースがイグアインであることは間違いない。

国内リーグ3位の失点数を誇り、堅守を軸に国内リーグで上位に食らいつくビジャレアルにとっては、いかにしてイグアインを封じるかが勝敗を分けるポイントとなりそうだ。

もちろん、中盤における絶対的な中核であり、冬の移籍市場を賑わせている気鋭のMFデニス・スアレスの去就からも目が離せない。国内リーグ第15節ではホームでレアル・マドリード相手に完封勝利を収めるなど、チーム状態は時間を追って上向き。攻撃的なサッカーで勢いのあるナポリとの対戦は、均衡した好ゲームとなりそうだ。

ナポリと同じイタリア勢では、フィオレンティーナがイングランドのトッテナムと対戦。ラウンド32での両者の対戦は2シーズン連続で、昨季は2戦合計3-1でフィオレンティーナがベスト16に進出した。国内リーグでは、両チームとも4位。ともに首位を射程圏内に捉えており、前半戦は比較的安定した戦いを見せていると言っていい。

フィオレンティーナはニコラ・カリニッチとヨシプ・イリチッチのアタッカー陣が好調。カリニッチはセリエAで10得点、イリチッチは同9得点と攻撃陣を牽引している。一方のトッテナムはイングランド代表FWハリー・ケインを軸に、MFエリク・ラメラやMFクリスティアン・エリクセンなど多彩なアタッカー陣が攻撃を彩る。昨季の因縁を考慮すれば、両者が攻撃的に仕掛ける打ち合いとなる可能性も秘めている。

ほかにもラウンド32では、アウクスブルクvsリヴァプール、ガラタサライvsラツィオ、シャフタールvsシャルケ、マルセイユvsアスレティック・ビルバオ、スポルティングvsレヴァークーゼンなど好カードが目白押し。UCLに引けを取らない質の高いゲームが期待できそうだ。
文/細江 克弥
theWORLD170号 2015年1月23日配信の記事より転載

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