[UCL/UEL欧州戦力図 2]昨季ファイナリストのラウンド16突破は1stレグ次第

ホームでのファーストレグはコンディションでユヴェントス優勢か

昨シーズンのファイナリストは、いきなりハズレくじを引いた。ベスト16から苦戦を強いられるに違いない。ドイツの絶対王者に真っ向から挑んで勝つのは、世界中のどのクラブにとっても至難の業だ。だが、番狂わせの可能性はゼロではない。

実際、昨シーズンはユヴェントスの決勝進出だって、多くの人にとってサプライズだった。バイエルンのベスト8進出が決まったと考えるのは大きな間違いだ。もちろん、チャレンジャーはユヴェントスだ。戦力的なことはもちろん、過去の対戦成績でも分が悪い。直近3試合はいずれもバイエルンが勝っている。アルトゥーロ・ビダルはバイエルンへ“ステップアップ”した。キングスレイ・コマンは、ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で開花している。2人はユヴェントスを出ることで一つ上のステージに行った。一方で、マリオ・マンジュキッチはバイエルンで出番を失いアトレティコ・マドリードへ移籍した後、ユヴェントスに流れ着いた。どちらが格上かは明白だ。だが、そんな簡単に勝敗は決まらない。ユヴェントスはその勝負強さがあったからこそ、昨シーズンの準優勝があった。

一つの大きなカギとして考えられるのは両チームのコンディションだ。どちらも国内で優勝を争うチーム。当然、チームのピークは終盤に持っていくのがセオリーだ。バイエルンは過去2シーズン、国内で優勝を早々と決めた後に調子を落とし、それが欧州の舞台にも影響した感がある。よって、国内で優勝を決めた後で油断をしないことはもちろん、ピークそのものをさらに遅らせてくる可能性は十分に考えられるだろう。

さらに言えば、ドイツはウィンターブレイクが長い。1月にじっくり休んで一からリスタートをしていると考えれば、2月23日のファーストレグにピークを持っていくのは難しい。ユヴェントスは、その逆だ。イタリアの絶対王者は、今シーズンの序盤で苦しんだ。実際のところは負傷者の影響が大きかったという印象だが、夏に主軸が抜けたショックがあると言われた。10月中旬に14位だったことには内部でも、不安や焦 りがあったに違いない。そこからの10連勝で底力を示し、スクデットレースに戻ってきた形だが、復調のために計画になかったエネルギーを使ったことは確かだろう。ガソリンが切れる直前がバイエルン戦であればベストだが、ピットストップのタイミングだったら、戦うことはできない。

古巣対戦を迎えるビダル 新たなエースとなったディバラ

古巣対戦を迎えるビダル 新たなエースとなったディバラ

シーズン序盤こそ躓いたユヴェントスだが、現在は本来 のフォームを取り戻した Photo/Getty Images

注目の選手には、前述のビダルを挙げたい。ユヴェントスの攻守の核だったチリ代表MFは、もちろん古巣のことをよく知っている。強敵を相手にしてモチベーションがあふれるときの彼はまさにトップクラス。ここを抑えられるか否かで、試合の展開は大きく変わるはずだ。ユヴェントス側では、パウロ・ ディバラに注目だ。ディバラは今シーズンのユヴェントスの攻撃をけん引するストライカー。昨年夏の新戦力ということで、ビダルとコマンにとっても未知の相手だ。ユヴェントスでの存在感はさらに高まっており、良い形でスピードと技術を披露することができれば、屈強なバイエルン守備陣でも手を焼くことは間違いない。

バイエルンがボールを支配してユヴェントスがカウンターを狙うという展開になることはほぼ確実だ。その中で、グアルディオラがどうリスクマネジメントをするのか。そして、マッシミリアーノ・アッレグリがどうやって ディバラを生かそうとするのか。試合前の準備を含めたベンチの駆け引きもポイントだ。一般的には、ホームでセカンド レグを戦うことが有利とされている。だが、こういったカードに関しては、ファーストレグがホームというのも悪いことばかりではないのではないだろうか。仮にユヴェントスが勝ち上がるとしたら、ホームでのファーストレグで自信をつけて、セカンドレグで狡猾に逃げ切る、という展開が最も想像しやすいように思う。グループステージでのアーセナルのように、ホームで先勝することで、バイエルンを本気にさせてしまい、敵地で痛い目を見る可能性だってあるだろう。だが、まずはバイエルンを本気にさせるところから始めなければいけない。わずかな差が明確な違いになってくるのは、接戦になってからだ。

文/伊藤 敬佑

theWORLD170号 2015年1月23日配信の記事より転載

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