[新天地で違いを生み出す選手たち 1]新戦力には鬼門のプレミア、いち早くフィットしたのは……

チームスタイルの違いに戸惑うニューフェイスたち

チームスタイルの違いに戸惑うニューフェイスたち

加入早々、前線に馴染んだスターリング photo/Getty Images

チェルシー唯一の即戦力として期待されたペドロが苦しんでいる。彼のパフォーマンスがどうのこうのという問題ではなく、チェルシーそのものが近来稀にみる不調に陥ったからだ。ジエゴ・コスタ、ジョン・テリー、ブラニスラフ・イバノビッチは本来の出来にほど遠く、ジョゼ・モウリーニョ監督もあらゆる事象に過剰反応し、クラブ内に不快なほどの緊張感を誘発している。このような状況下では好プレイなど望むべくもない。ペドロが本領を発揮するのは、チェルシーの諸問題が鎮静化してからだろう。

そのチェルシーからアーセナルに移籍したペトル・チェフも苦しんでいる。なにしろ、チームコンセプトが正反対だ。後者は攻守ともに選手の自主性に委ねているが、前者は決まりごとが多い。アーセナルでは予期せぬエリアからシュートを撃たれ、危険区域への侵入をあっさり許す。名GKでも対応できないケースもある。しかもアーセン・ヴェンゲル監督が、喫緊の課題といわれていた守備的MFとセンターバックの補強を見送った。論争を好まず、与えられた任務を黙々とこなすチェフであっても、アーセナルの守備事情に完全フィットするまでには、まだまだ時間が必要だ。

アストン・ヴィラからリヴァプールへやってきたクリスティアン・ベンテケの状況も悩ましい。前線に張り付いているわけではなく、左右に流れてスペースメイクに尽力しているものの、上層部が補強プランを誤った。ベンテケの高さを活かせるクロッサーはジョーダン・アイブただひとりであり、彼は定位置確保に至っていない。トップ下と中盤センターの人材がダブつき、サイドを活かせる選手がいないのだから、ベンテケの高さと強さも宝の持ち腐れだ。

大型補強成功、シティ無傷の5連勝に貢献

大型補強成功、シティ無傷の5連勝に貢献

チェフはチームスタイルの違いに慣れることが必要だ photo/Getty Images

一方、ラヒーム・スターリングは、マンチェスター・シティの左サイドを活性化した。前任者のサミア・ナスリをはるかにしのぐスピードを持ち、使われる意識も非常に高い。また、攻→守の切り替えが格段の進歩を遂げ、ナスリと違って無用ないさかいも起こさない。「 セルヒオ・アグエロやダビド・シルバと毎日トレーニングできるだけで楽しい。キックやトラップのバリエーションを間近で見られるし、アドバイスもしてくれる。シティに移籍してよかった」

スターリングも嬉々として語っていた。強欲な代理人、アンディ・ウォードの存在は気になるものの、スターリングがシティにフィットしていることは間違いない。

そしてシティにはもうひとり、ケビン・デブライネもやって来た。昨シーズンはヴォルフスブルクにおいて20アシストを記録。4大リーグではリオネル・メッシ(バルセロナ)、セスク・ファブレガス(チェルシー)の18を上まわる最多記録である。

ディフェンスの背後をついたり、ロングフィードで局面を変えたり、パスの種類と精度は抜群だ。また、右サイドとトップ下に対応できる汎用性も強みであり、シルバやアグエロと瞬く間に化学反応を起こし、シティの攻撃力倍増にひと役買ったとしても不思議ではないだろう。

移籍金は今夏最高額の5500万ポンド(現在のレートで約102億4300万円)。デブライネには、その価値が十分にある。

同じマンチェスターに居を構えるユナイテッドでは、モルガン・シュナイデルランの出来が出色だ。豊富な運動量と卓越した状況判断でピンチの芽を未然に摘み取り、最終ラインの負担軽減に貢献している。

中盤センターの定位置を争うライバルはバスティアン・シュバインシュタイガー、マイケル・キャリックと強敵だ。しかし、チャンピオンズリーグ第1節のPSVアイントホーフェン戦で、左サイドバックのルーク・ショーが両足骨折、全治6か月の重傷を負ったため、4バックは手直しが必要だ。当然、中盤センターには安定した守備力が求められる。シュナイデルランの好不調がユナイテッドの今シーズンを左右したとしても、決して不思議ではない。

あとはとにかくゴールが欲しい岡崎慎司 photo/Getty Images

さて、岡崎慎司である。多くの関係者が口をそろえる「この夏、最高の買い物だった」と… …。旺盛な闘争本能と攻守にわたる献身的な動きでレスター・シティのサポーターに認められ、クラウ

ディオ・ラニエリ監督も「シンジはつねに勇敢だ」と目を細めていた。ただ、チャンスを迎えたとき、なぜかファーポストに走るケースが多い。多すぎる。ジェイミー・バーディーがニアで、岡崎はファーという決まり事でもあるのだろうか。

オフ・ザ・ボールの貢献は認めるものの、ニアに飛び込む動きが岡崎の持ち味であり、センターフォワードは点を取ってナンボである。ゴール数が伸び悩んだ場合は、つかみかけた定位置も危うくなる。岡崎はより積極的に、ニアポスト周辺でのプレイを心掛けるべきだ。

文/粕谷 秀樹

theWORLD166号 9月23日配信の記事より転載

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