[魁! サムライ・フットボーラー 2]岐路に立つ「キャリア組」 成否を分ける4つのキーファクター

内田篤人を悩ませる「ケガ」

内田篤人を悩ませる「ケガ」

長らくピッチから遠ざかる内田 photo/Getty Images

日本人選手がヨーロッパで活躍するには、単純に実力があればいいというものではない。彼の地で成功を収められるか否かは、実力に加え、様々な要因が絡んでくる。

成否を分ける要因のなかで、最も影響が大きいのは「ケガ」だろう。現状、これに悩まされているのが内田篤人だ。昨季終盤からすでに右ヒザのケガで戦線離脱していたが、このオフに手術に踏み切ったことで、復帰までには相当な時間がかかる見通しだ。

シャルケですでに5シーズンを主力としてプレーしてきた内田にとっては、これほどの長期離脱は過去になかったことである。もちろん、手術後の彼自身がこれまで通りのパフォーマンスを見せられるかどうかという問題もあるが、内田不在の間のチーム状態次第では、復帰しても居場所がないという可能性もありうる。いずれにしても内田にとって厳しいシーズンとなることは間違いないが、とにもかくにも、まずは復帰を待つしかない。

「チーム強化」が吉田の起用に影響?

「チーム強化」が吉田の起用に影響?

移籍市場最終日に加入が決まったオランダ代表DFファン・ダイクは吉田のライバルに photo/Getty Images

続いて挙げられる要因が「チーム強化」。これに当てはまるのは、今季サウザンプトンで4シーズン目を迎える吉田麻也である。

昨季プレミアリーグで7位となったサウザンプトンは、今季はUEFAヨーロッパリーグ出場圏内(6位以上)を狙い、各ポジションで補強が行われた。DFラインも例外でなく、各国代表レベルの選手が加わっている。

吉田は昨季、出場試合数こそ一昨季より増やしたものの、本職ではないサイドバックとしてもプレーしており、不安定な立場にいる。それだけにチーム強化が進んだ今季は、ロナルド・クーマン監督からセンターバックとして絶対的な信頼を勝ち取れるかどうか。上を目指すクラブのなかで、吉田自身にもステップアップが求められている。

香川は「監督交代」後もファーストチョイス?

香川は「監督交代」後もファーストチョイス?

トゥヘル新監督のもと、アピールを求められる香川 photo/Getty Images

チーム強化に関連した要因としては、「監督交代」もまた挙げられるが、今季これに直面しているのが香川真司だ。

香川はマンチェスター・ユナイテッドで不遇を味わった後、昨季ドルトムントに復帰したが、以前に在籍していたときのような活躍はできず、しかも恩師ユルゲン・クロップ前監督が退任。今季からトーマス・トゥヘル新監督の下でプレーしなければならない。現状での相性は悪くないようだが、この先、まだまだ不透明な部分は残る。新指揮官の求めるものへの適応は図りながらも自らの存在を示さなければならない。香川にとっては、そんなシーズンになる。

「移籍」も残留も、長友にとっては茨の道

「移籍」も残留も、長友にとっては茨の道

インテル残留を選んだ長友だがその先は…… photo/Getty Images

そして、最後にもうひとつ挙げておかなければならない要因が「移籍」である。現在、インテルからの移籍が噂される長友佑都にとっては切実な問題だろう。

長友本人は残留を希望しており、その可能性も残されてはいるが、そもそも移籍話が持ち上がる時点でインテルでの立場が危ういということでもある。移籍後の新しい環境で一から能力を示し、監督やチームメイトからの信頼を勝ち取ることは簡単ではないが、一方でインテルは最近の低迷から脱するべく、このオフに大補強を行っている。長友にとっては、言わば「移るも地獄、残るも地獄」。いずれを選択するにしても、彼にとっては正念場。自身のキャリアにおいて、今季は重要な分岐点となりそうだ。

ここに挙げた4選手は3シーズン以上をヨーロッパで過ごし、相応の地位を築いてきた。だが、一方でその事実は、結果を出さなければたちまち切り捨てられかねない立場にあるということも意味している。積み上げた実績も未来の成功を保証してはくれない。

昨季、決して満足できるシーズンを送れたとは言えない彼らは、様々な要因を克服し、あるいは味方につけて、今季の成功を収めることができるだろうか。

それぞれの勝負のシーズンが幕を開けた。

文/浅田 真樹

theWORLD165号 8月23日配信の記事より転載

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