[魁! サムライ・フットボーラー 3]現地ジャーナリストが明かす! 開幕戦までのミラン本田の評価は……

指揮官ミハイロビッチのスタイルに合致した本田

指揮官ミハイロビッチのスタイルに合致した本田

プレシーズンマッチからトップ下として出場機会を掴んだ本田 photo/Getty Images

シーズン初の公式戦となった17日のコッパ・イタリアで、ミランの10番はいつもどおり、列の最後を陣取って堂々と入場した。本田圭佑は、現時点でレギュラーである。

今季からミランを率いるミハイロビッチは、このペルージャ戦で「ベストメンバーを起用する」と公言していた。つまり、この日の先発メンバーはセリエA開幕戦でもピッチに立つ予定の選手たちということだ。新体制とインザーギ前監督との大きな違いは、やはりシステムだ。本田は昨季、シーズンを通して右FWを担当したが、ミハイロビッチ体制は2トップでトップ下を置く形。これは本田にとってポジティブな変化である。

このポジションを争うのは、昨季のチームで両サイドを担当していた選手たちがメインだ。適正ポジションがなくなったエル・シャーラウィは早々と移籍を決断し、ボナヴェントゥーラはインサイドハーフ起用が主になる見込み。チェルチはFW扱いという印象で、トップ下は本田以外に若手のスソと、まだコンディションが万全ではないメネズが選択肢という状況だ。

サイドであればスソは本田にとって強力なライバルだが、イタリアでトレクァルティスタ(トップ下)を務めるにはフィジカルが不可欠だ。その点で本田とスソには明らかな差がある。このポジションにサイドに流れることよりも中央の限られた場所で戦うことを望むミハイロビッチの要求に近いのは本田だろう。メネズと比べても本田は監督の希望に近いトップ下のはずだ。しかし、昨季の攻撃をけん引したフランス人アタッカーには、そもそも違う役割が与えられる。同じトップ下ではあるが、メネズに求められるのは個の突破力。トップ下というよりは1.5列目としての働きだ。

新戦力が躍動! 新しいミランの誕生

新戦力が躍動! 新しいミランの誕生

モチベーターとして評価されるミハイロヴィチ監督 photo/Getty Images

これからトップ下によほどの選手が加入しない限り、しばらくは本田がミハイロビッチのファーストチョイスになるだろう。ただ不動のレギュラーという立場ではないはずだ。ゴールを量産していた昨季序盤戦の本田をイメージするミラニスタは少ない。10番の選手としては物足りない数字に終わった印象の方が強いのだ。好意的な見方をするファンは、守備への貢献度が高い攻撃の選手と評価する。

だが、本田は攻撃面で結果を出していかなければ生き残れない。ペルージャ戦の本田は、トップ下で活き活きとしていた。ミハイロビッチが要求するプレーと自身のイメージが一致している印象だ。才能あふれる新戦力とも息が合っていた。特にルイス・アドリアーノは本田の能力に対する信頼がうかがえる。ミランの今季初ゴールとなった本田の得点は、彼の気の利いたスルーによって本田が活かされたシーン。2点目は本田のスルーパスが抜群だったが、そのタイミングで出てくるという信頼関係があったからこそ、ルイス・アドリアーノも準備を整えていた。短い時間で良い関係を築いている様子だ。

しかし、これから対峙する相手はペルージャではない。本田が戦おうとしている場所は、イタリアのカルチョで最もし烈な位置。今、監督の理想に最も近い選手だとしても、チームを勝利に導くことができずファンを満足させられない日々が続けば、チームの要求は変わってくる。
移籍の噂もチラホラあったが、現時点でクラブが本田放出を検討していることはないだろう。インテルDF長友佑都の移籍報道とは質が違うものだ。限られた純粋なトップ下として、チームは戦力にカウントしている。あとは実際にチームと本田自身が結果を出し、「トップ下本田」が勝利への一手であることを周囲に認めさせることだ。

文/伊藤敬佑

theWORLD165号 8月23日配信の記事より転載

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