ホーム側が勝利したのは9試合のみ! プレミアの厳しいトレンド
アウェイゲームこそが勝ち星の拾い時
アウェーで大勝したウェストハム photo/Getty Images
チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督が言うプレミアリーグの厳しさとは何か。その理由が第4節までに集約されているのかもしれない。
戦術分析に定評のあるマイケル・コックス氏は『ESPN』に対し、序盤戦のポイントとしてウェストハムを挙げた。ウエストハムは昨季まで率いていたサム・アラダイスに代わり、今季からスラベン・ビリッチが指揮を執っている。ディミトリ・パイェら面白い選手も加入したが、何より面白いのは第4節までの戦績だ。
ウェストハムは開幕戦、アーセナルを敵地で2-0で下し、今季は一味違うことを証明したかと思えば、そこからは岡崎慎司も所属するレスターにホームで1-2、翌週のボーンマス戦もホームで3-4と敗北を喫した。アーセナルを倒したのは偶然かと思いきや、今節はリヴァプールを敵地で0-3と圧倒した。ウェストハムはここまで降格候補といわれた2チームに敗れ、優勝候補2チームに勝つという不思議な戦いをしているのだ。
この謎について同氏は、アウェイで勝っていることに注目している。「ビリッチのチームはホームで勝っていない。しかし、これは決して珍しいことではない。現在プレミアリーグのトレンドはカウンターアタックにあり、それはアウェイでより効果を発揮する。第4節終了時点の40試合で、ホーム側が勝ったのはたった9試合しかない。これはホームでゲームを支配するより、アウェイでカウンターを仕掛けるチームの方が効果的に戦えていることの証だろう」
「現にウェストハムはアンフィールドで4-1-4-1の守備ブロックをコンパクトに形成していたが、なかなか攻め込めない展開にリヴァプール側は明らかにイライラしていた。特にコウチーニョを中心に中央から崩そうとするリヴァプールのようなチームは、ウェストハムのブロックの前でしかボールを回せていない。そのイライラがコウチーニョの2つのイエローカードに繋がったのだろう」
「ウェストハムにはサコーやパイェのように速くて突破力のある選手がいるし、中盤のクヤテも縦への推進力がある。彼らは縦にスピーディーなサッカーに向いている。次にウェストハムがアウェイで戦うのは9月19日のマンチェスター・シティ戦だが、これまで通りにいけば彼らはアウェイでマンチェスター・シティを苦しめることになる」
確かに同氏が指摘する通り、第4節終了時点でホーム側が勝った試合が9、アウェイ側が勝った試合は17となっており、アウェイ側の方が勝利数が多い。今季はチェルシーもホームでクリスタル・パレスに敗北を喫しており、これは波乱というよりは計算通りと表現した方が良いかもしれない。
モウリーニョはこうした厳しさがプレミアリーグにあることを理解しているのだろうが、このままの流れでいけばマンCはウェストハムに苦戦するかもしれない。中堅や下位といえども油断はできないプレミアリーグは、今季も1試合たりとも見逃せない。