ドルトムントの”新入り”ユリアン・ヴァイグルが面白い

その可能性、無限大につき

その可能性、無限大につき

先制までに苦労したインゴルシュタット戦、起点はヴァイグルのパスだった photo/Getty Images

今夏のドルトムントの補強の印象を述べるとするならば、堅実という言葉がぴったりとハマる。フライブルクで昨季センセーショナルな活躍をしたスイス代表GKロマン・ビュルキ、レヴァークーゼンで昨シーズンのリーグベストイレブンに選ばれたドイツ代表MFゴンサロ・カストロを加え、年齢による衰えが見られた正守護神ロマン・ヴァイデンフェラーの後釜と故障者の絶えなかった中盤に即戦力を加えたフロントの仕事は堅実そのものだった。

だがしかし、2部の1860ミュンヘンから獲得した19歳の新鋭を抜きにして今夏の補強は語れない。U20ドイツ代表MFユリアン・ヴァイグルだ。

186cmの長身にほっそりとした身体つきのヴァイグルは、トーマス・トゥヘル監督が今年の補強で真っ先に目をつけた選手だった。正式にドルトムントの監督に就任する6月より前にフロントに要望し、5月末には1860ミュンヘンの合意を取り付けていたという行動の速さは、指揮官のこの若手MFに対する並々ならぬ評価の高さを窺わせた。

現在ドルトムントに所属するスヴェン・ベンダー、モリッツ・ライトナーに代表されるように、セントラル・ミッドフィルダーの育成に長けた1860ミュンヘンの下部組織からデビューしたヴァイグルは、まだプロとしてのキャリアを1シーズン半しか持たない。2014年1月にトップチームデビューを飾り、今年の5月にニュージーランドで開催されたU20W杯にドイツ代表の一員として参加した経歴を持つが、ドルトムント加入時のネームバリューで言えばビュルキやカストロとは比較にならないほぼ無名の若手だった。

しかし、プレシーズンマッチで印象的なプレイを見せたヴァイグルは、即座にその実力が本物であるということを証明する。トゥヘル監督の選択するフォーメーション、[4-1-4-1]の1ボランチに入ると、的確なポジショニングで相手のパスをカットし、ボールを奪えば味方に正確なパスを素早く供給。足元の技術は確かなもので、ボールを持った時の冷静さはとても19歳とは思わせない貫禄があった。

そして迎えた8月15日のリーグ開幕戦、ボルシア・メンヘングラードバッハ(ボルシアMG)戦でヴァイグルは先発の座を勝ち取った。今年4月の対戦で1-3の完敗を喫したボルシアMGは、速いカウンターを武器に昨シーズンの後半戦で最も勝点を得たチームだが、この試合でドルトムントは圧巻のゴールラッシュを見せる。14分に香川のアシストからロイスが強烈な先制ゴールを叩き込むと、前半終了時までに2得点を追加し、試合終了の笛が吹かれたとき、スコアは4-0になっていた。

この大勝にヴァイグルも大きく貢献していた。独『キッカー』の統計によれば、ボルシアMG戦で記録したヴァイグルのパス本数は80本。そしてミスした本数はわずか4本となり、パス成功率95%は両チームを通じて最高のスタッツとなった。中盤で香川、ギュンドアンとともにパスワークの中心となり、やはりこの試合でも持ち前のポジショニングの良さ、パスの正確さを披露している。

ヴァイグルの特徴を更に挙げるなら、これだけのパス成功率を誇りながらシュートに直結する「攻めのパス」が多い点だ。23日のインゴルシュタット戦ではマティアス・ギンターの先制ゴールの起点になるパスをムヒタリアンに提供し、アシストに繋げている。ペナルティエリア付近でフリーになっていたムヒタリアンを決してヴァイグルは見逃さなかった。

『キッカー』によるシュートの起点になったパス本数の集計を見ると、ヴァイグルはここまで2試合180分の出場で4本を記録している。チーム内1位の香川の7本に次いで高い数字を、3列目の選手が叩きだしたのだからやはり凄まじい。同ポジションではバイエルン・ミュンヘンのシャビ・アロンソが5本という高い数字を出しているが、パス成功率はヴァイグルに軍配が上がった。(2試合平均でヴァイグルが92%、アロンソは88%)

試合を見ていれば効果的なプレイをしていることは一目瞭然ながら、ここまでスタッツでも圧倒的な数字を出していることには驚嘆を隠せない。まだ2試合しかリーグが進んでいない現状で判断することは早計かもしれないが、シーズン終了時に15-16シーズン最大の発見だったと評価されていても不思議ではない、それだけのポテンシャルを秘めた選手であるように感じられる。今年9月で20歳を迎えるドイツの新鋭から目が離せない。

記事一覧(新着順)

注目キーワード

CATEGORY:コラム

注目タグ一覧

最新号を無料配信中!
電子マガジン「ザ・ワールド」
No.239 “魅せる”新監督
theWORLD(ザ・ワールド)は世界中のサッカーを網羅する、日本初のスマートデバイス対応フリーミアム 電子マガジン!

雑誌の詳細を見る

人気記事ランキング

INFORMATION

記事アーカイブ